健康への好ましい影響が色々と報告されている、オメガ3脂肪酸。特に青魚に豊富に含まれています。この魚の油と低脂肪の食事を組み合わせると、前立腺がんの進行を遅らせることができるかもしれない。そんな可能性を報告した調査が、アメリカから発信されました。
(この画像はイメージです John Kasawa/FreeDigitalPhotos.net)
アメリカでは、前立腺がんは男性の死亡原因として常に上位に上がっている病気です。年間20万人以上の人たちが前立腺がんの診断を受けており、このうち1割以上の人たちがこの病気のために亡くなっています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが行った調査では、低脂肪の食事にプラスして、魚の油をサプリから1日5グラム摂るという食事療法を受けた前立腺がんの患者さんと、総カロリーの40%が脂肪分に由来する、「典型的な西洋の食事」を摂り続けた患者さんを比較しました。
すると、がんの再発の目安となる細胞周期進行スコアという数値と、血中の炎症を示す数値が、低脂肪食+魚の油の食事をしている人たちで、低くなっていました。前立腺の細胞膜に含まれる油の構成を調べた結果、魚の油によりオメガ3脂肪酸が増えており、欧米の食事で多く見られるコーンオイルから取り入れられたオメガ6脂肪酸が減っていたことから、細胞膜に含まれるオメガ3脂肪酸の量が増えることが、良い結果が見られた理由ではないかと考えられています。
これらのことから、前立腺がんの患者さんには、低脂肪食で、魚の油を意識的に摂る食生活がすすめられるという結論が出ました。和食はもともと低脂肪のメニューが多いもの。あれこれメニューを考えるのが難しいという人でも、和食を中心とした食生活に、魚の油のサプリを飲むスタイルなら、比較的簡単に実行できそうですね。
ただし、一部の研究では、オメガ3脂肪酸の取り過ぎは前立腺がんのリスクを高めるとも言われています。何事もほどほどに、サプリの摂取は用法容量を守りましょう。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
You are what you eat: Low-fat diet changes prostate cancer tissue
http://newsroom.ucla.edu/portal/ucla/
Omega-3 Fatty Acids Linked to Increase in Prostate Cancer Risk
http://www.cancer.org/cancer/news/