医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 厚生労働省、ノバルティスを刑事告発―降圧薬の誇大広告疑い

厚生労働省、ノバルティスを刑事告発―降圧薬の誇大広告疑い

読了時間:約 1分52秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年01月15日 AM09:57

厚生労働省は9日、高血圧治療薬「ディオバン」臨床研究の結果を用いた広告が薬事法上の虚偽・誇大広告の禁止に違反する疑いがあるとして、ノバルティスファーマと同社社員を東京地検に刑事告発した。薬事法に基づく資料提出命令、事情聴取によって、臨床研究データ改ざんの実態解明を進めてきたが、故意にデータ改ざんが行われたと知りつつ、効能・効果に関する広告に用いた疑いが強まったと判断。ノ社を刑事告発し、実態解明を検察当局の捜査に委ねることにした。

■実態解明は司直の手に

厚労省は、ノ社が2011~12年にかけて、データ操作されたディオバン臨床研究「KYOTO HEART Study」「JIKEI HEART Study」の結果を記載する資材を用い、ディオバンの効能・効果に関する広告を行ったと指摘。これら行為が薬事法第66条1項で禁止されている虚偽・誇大広告に該当する疑いがあるとし、ノ社に対し薬事法に基づく資料提出命令、事情聴取を実施して事実関係の確認を行ってきた。

その結果、新たな事実を含めて、誇大広告の疑いが深まったと判断。現時点でデータ改ざん事件の実態が完全に解明されていないことから、ノ社と同社社員を刑事告発し、全容解明を検察当局の捜査に委ねることにした。誇大広告に該当する薬事法第66条違反のみの疑いで告発するのは初のケース。

厚労省は、「データ操作は日本の臨床研究の信頼性を揺るがす問題。そのデータをもとに医療保険制度の中で広告宣伝に利用されたわけで、原因が解明されなければこの問題は解けないままになってしまう」と異例の対応に踏み切った理由を説明した。

今回の薬事法第66条違反での刑事告発には、行政処分の事例とは異なり、「故意」があったことが前提となる。厚労省は、ノ社と同社社員がデータ改ざんの事実を知りつつ、そのデータを用いて広告宣伝していたことが故意の疑いに当たると判断した模様だ。

■田村厚労相「きつい対応をした」

田村憲久厚労相は10日の閣議後会見で、「これからの日本の医学の発展や新薬開発など、非常に注目されている臨床研究で誇大広告という問題点が見受けられる。こういうことに対し、臨床研究の信頼性を揺るがすことを含めて、われわれとしてはきつい対応をさせていただいた」と語った。

その上で、大臣直轄検討会の今後に言及。「再発防止という意味では中間報告が出ており、さらに付け足す部分があれば、その中でどのような再発防止策があるかをご議論いただくということになる」との認識を示した。

一方、ノ社は厚労省の告発に対して、「薬事法の虚偽・誇大広告の疑いで刑事告発された事態を極めて重く受け止めており、これまでと同様に今後も当局に全面的に協力していく」と見解を発表した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果