病態の理解へ大きな手がかり
脳の発達中において、神経細胞のゲノムの中でLINE-1(ラインワン)と呼ばれる転移因子(レトロトランスポゾン)が増えることが、統合失調症の病態に関わることが明らかにされた。
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これは、東京大学大学院医学系研究科・分子精神医学講座の岩本和也特任准教授、文東美紀特任助教、理化学研究所 脳科学総合研究センター・精神疾患動態研究チームの加藤忠史チームリーダーの研究グループが、慶應義塾大学、新潟大学、奈良県立医科大学と共同で解明したもの。研究成果は日本時間1月3日、米科学雑誌「ニューロン」の電子版に掲載された。
統合失調症の病態の理解へ大きな手がかりを与え、統合失調症の治療法や診断法、発症予防法の開発に寄与することが期待される。
脳組織のDNAにおいて有意に増加
研究チームは、統合失調症の病態にLINE-1が関係していると考え、患者の脳組織におけるDNA中のLINE-1配列の含量を測定した。その結果、健常な対照群と比べLINE-1配列が統計学的に有意に増加していることを見いだしたという。
さらに、動物モデルを用いて検討を行った結果、統合失調症の危険因子である発達期の環境因子(胎生期のウイルス感染や周産期障害)によってLINE-1配列が増加することも発見したとしている。(小林 周)
▼外部リンク
東京大学 プレスリリース
http://http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release