乳がんは、日本を含むアジア圏の女性よりも、欧米の女性の方がかかる確率が高いことで知られています。この違いは、アジア女性の方が大豆タンパク質の摂取量が多いことが原因の一つだとする調査がこれまでにも報告されていました。大豆に含まれるイソフラボンは、閉経後に減少する女性ホルモンの働きを補うと考えられているからです。
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イソフラボンの働きの一つに、血糖と脂肪をコントロールするホルモン、「アディポネクチン」を上昇させるというものがあります。また、トマトに含まれるリコピンにも同じような効果があることから、米ラントガーズ大学の研究チームではトマトも閉経後の女性の乳がん予防に効果的ではないかと考え、「大豆たっぷり食」と、「トマトたっぷり食」を食べ比べてもらいました。すると、「トマトたっぷり食」でも、健康の維持増進を期待できる効果が見られることが確認されました。
乳がんにかかるリスクは、閉経を迎えた女性のBMIが高くなる、つまり中年太りが進んでくると高くなることが知られています。閉経によって、ホルモンのバランスが変化し、更に太りやすくなることは、頭の痛い現象です。
この調査では、閉経後の70人の女性に、1日のリコピン摂取が25ミリグラム(完熟トマトで500グラム相当)になる「トマトたっぷり食」、40グラムの大豆タンパク質を含む「大豆たっぷり食」を摂ってもらいました。
その結果、トマトたっぷり食を食べていると、血糖と脂肪をコントロールするホルモン、アディポネクチンが9%増加しました。この効果は、BMIが低い女性の方で、13%とより高い割合で見られました。ところが、大豆たっぷり食では、全体ではアディポネクチンが9%減、BMIが低い女性では11%減となっていました。このことから、閉経後の女性のアディポネクチンをアップさせるには、トマトがより効果的ではないかと結論づけられました。
また、この成果が、わずか10週間の実験でも、数値に変化が表れたことから、短期間で効果の見られる食事として注目されています。日本でも手軽に手に入るトマト、以前はサラダが主流でしたが、最近ではスープやおでんなど、寒い時期にぴったりな、あたたかい料理もたくさん紹介されています。年間を通じて、たくさん食べたいものですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Effects of Tomato and Soy on Serum Adipokine Concentrations in Postmenopausal Women at Increased Breast Cancer Risk
http://press.endocrine.org/doi/abs/10.1210/jc.2013-3222