希少疾病ADPKDの初めての治療薬
大塚製薬株式会社は2013年12月27日、欧州における常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療薬「トルバプタン」について、欧州医薬品庁(EMA)により医薬品販売承認申請(MAA)が受理されたと発表した。
ADPKDは、腎臓に多数の嚢胞ができ腎臓が肥大する病気で、高血圧や腎臓の痛みが発症するのを特徴とする。次第に腎機能が低下し、最終的に腎不全に至る遺伝性疾患で、透析治療が必要となる。
(画像はwikiメディアより引用)
国際共同試験において、腎臓の容積増加率を有意に抑制
「トルバプタン」は、大塚製薬の徳島研究所において26年をかけて開発した薬剤。バソプレシンV2-受容体拮抗作用により水だけを出す利尿剤として投与される経口治療薬であったが、バソプレシンV2-受容体を介したcAMP産生を抑制することによりADPKDの腎嚢胞の増殖・増大を抑制することが発見されたことで、希少疾病であるADPKDの治療薬開発へと進んだ。
世界15カ国から患者1,400例以上を対象とした国際共同試験であるTEMPO3:4試験において、「トルバプタン」はプラセボと比較し、腎臓の容積の増加率を約50%有意に抑制することが証明されたという。また、2013年8月に、EMAの希少疾病用医薬品委員会(COMP)は「トルバプタン」を希少疾病用医薬品として指定した。なお、現在、日本においては承認申請中。米国では、FDAの審査完了通知を受け、追加データ等について協議中であるとしている。(堤朝子)
▼外部リンク
株式会社大塚製薬 ニュースリリース
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2013/