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シスメックスとNEDO 世界初となる糖鎖マーカーを用いた肝線維化検査技術の実用化に成功

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2014年01月10日 AM06:00

世界初 糖鎖マーカーを用いた肝線維化の進行度を判定する試薬

シスメックス株式会社は、独立行政法人産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センターと共に、肝線維化の進行度を糖鎖マーカーを用いて血液検査により判定する世界初の試薬を開発したと2013年12月26日、発表した。

(画像はプレスリリースより)

患者負担が大きかった生検

ウイルス性肝炎は、日本では約300万人が感染する国内最大の感染症である。感染した状態で放置すると、肝細胞がんへ進行する可能性がある。国立がん研究センターの「がん統計情報」によると、日本における2011年の肝細胞がんでの死亡者数は、31,800人にのぼる。肺がん、胃がん、大腸がんに次いで4番目に死亡者数の多いがん種である。

これまでの検査方法は、肝臓組織を採取して行う生検が主流であったが、身体的・経済的な側面で患者の負担が大きいことが課題とされていた。その点を解消すべく、NEDOと産総研はタンパク質ベースのバイオマーカーでは不可能であった精度の高い診断を可能とする、糖鎖マーカーの開発を進めてきたという。しかし、精度面の課題は克服できたが、測定に時間がかかり、臨床現場で実際に使用する上での課題となっていた。

わずか17分 迅速な測定で患者負担を軽減

今回開発された糖鎖マーカーを用いた肝臓の線維化検査用試薬は、肝線維化の進行と相関性が高いレクチンを用い、変化した糖鎖構造Mac-2 binding protein糖鎖修飾異性体「M2BPGi」を捉え、化学発光酵素免疫反応によりM2BPGi量に応じた発光強度を検出する検査技術である。これによって、肝臓の線維化の進行の度合いが数値でわかるという。

この検査技術は、これまでのタンパク質ベースでの検査では実現できなかった、線維化病態におけるM2BPGi表面上の質的な糖鎖構造変化を捉えることが可能となるという点で、より有用性の高い検査と考えられる。基礎研究の段階では測定に約18時間を要していたが、今回、医療機関の臨床検査室で実施する診断システムとして開発した結果、17分程度での測定を実現することに成功したという。

この技術の実用化により、入院をせず採血のみで迅速に測定することができるようになる。ウイルス性慢性肝炎の治療における患者の負担軽減が期待される。(たなか牡丹)

▼外部リンク
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/

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