■初の複数学位取得制度
ビジネスのグローバル化が進展する中、特に外資系製薬企業などでは、科学力と経営管理力の両方を持つ人材が求められている。実際、製薬企業のトップには、博士号とMBAを取得した高学歴の人材が多く、米国では博士号とMBAの複数学位取得が活発に行われている。
今回、岐阜薬大と中京大は、薬学(薬科学)博士号とMBAを持った学生を育成するため、両大学の大学院でカリキュラムを履修できるように連携する。公立大と私立大の連携は珍しく、特にグローバルでの活躍を目指し、製薬企業などで研究開発や経営をリードする人材を育てたい考えだ。
具体的には、岐阜薬大の大学院博士課程4年間のうち、2年間を中京大のビジネススクールで学ぶことになる。平日夜間や土曜日に情報ビジネス戦略や管理会計、経営戦略等の集中講義を受け、1年目でほとんどの単位を取得できる計画で、2年目は修士論文の作成に充てる。
中京大MBAコースは社会人大学院で、3年以上の社会人経験が条件となっているが、今回の連携協定により、大学院生も受け入れる。大学院生と社会人学生が共に学ぶ新たな実学モデルを示していく。
一方で、薬剤師の国家資格と薬学博士、MBAの学位を持った学生を社会に輩出することになり、学生の付加価値向上も期待される。薬学生の就職動向を見ると、4割が製薬等のメーカー志向とされ、MBA取得でビジネスセンスを磨くことも強みとなりそうだ。
今後、14年度から薬学博士とMBAの複数学位取得コースについて学生を募集し、早ければ14年度中の学生受け入れを目指す。本格的な受講開始は、15年度からになる予定だ。
岐阜薬大では、社会に通用する人材輩出を重視した取り組みを打ち出している。今回、薬大として初めて、薬学博士とMBAの複数学位取得に向けた連携に乗り出し、学生の多様な就職選択肢を確保していきたい考え。