アメリカはノースキャロライナに拠点を置く、カイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente Care Management Institute)では、運動を生活に取り入れることの重要性について、数年前からバイタルサインプログラム(Excersise as Vital Sign Pilot Program)という取り組みを行っています。
(この画像はイメージです)
これは、通常「バイタルサイン」といわれる、体温、脈拍、血圧などを電子記録化して、参加者の健康管理に役立てようとする取り組みの一部です。
バイタルサインパイロットプログラムでは、2010年の4月から2011年の10月までに、対象となった692,267人の記録が管理されました。プログラムの一環として、電子記録の作成にかかわった医療機関は、1,196件、延べ受診回数は150万回以上となりました。
データを分析すると、運動習慣についての情報収集を行って、これを電子記録情報に追記した医療機関を訪れていた人たちでは、そうでない人たちに比べると、減量した人の割合が高く、平均で0.2ポンド、体重が減ったといいます。また、糖尿病の患者さんでは、血糖のコントロールがより効果的に行われ、HbA1cレベルが0.1%低下したことが判明したのです。この数値はわずかに見えますが、臨床的に重要と研究チームは述べています。
調査を行った専門家は、運動習慣について質問を受けたり、記録を行ったりすることは、患者さんのみならず、医療機関側でも、運動習慣の重要性を常に念頭に置くことになると指摘。健康管理意識が高まったことで、健康の指標である体重や、血糖のコントロールに影響が出たのだと考えています。
調査チームの1人は、「運動は最も安い健康への処方薬」と説明しています。昨今では、運動状況を振り返ることのできる手軽なアプリも多く開発されてきました。せっかく運動習慣をつけるなら、運動を記録して振り返る習慣もつけて、より効果的に健康管理に役立てたいものですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Tracking Exercise as a Vital Sign Associated with Weight Loss and Better Glucose Control for Patients
http://share.kaiserpermanente.org/article/