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東北大ら 精神疾患の原因となるゲノム領域の90%以上で存在する特殊遺伝子を確認

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2014年01月07日 PM04:15

東北大学と英・アイルランドの研究グループが発見

2013年12月24日、東北大学大学院生命科学研究科生物多様性進化分野の牧野能士助教と、イギリス、アイルランドの研究グループは共同で、特定のタイプの遺伝子群が精神疾患に強く関わることを突き止めたと発表した。

ゲノム上の領域が突然変異により重複・消失することで生まれる個体差、コピー数の違いをコピー数多型というが、ほとんどが無害であるこのコピー数多型において、統合失調症、自閉症、知的障害、うつ病といった精神疾患の原因となるコピー数多型も近年報告されてきている。だが、このコピー数多型中には、複数の遺伝子が含まれる場合がほとんどで、そのうち真に原因となる遺伝子を特定するのは困難だった。

こうした中、研究グループは、精神疾患の原因となるコピー数多型の90%以上が保持する遺伝子を発見した。この成果は同年12月23日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

(画像はプレスリリースより)

脊椎動物初期進化で起きた全ゲノム重複に由来する「オオノログ」が鍵

牧野助教らは、脊椎動物の初期進化で起きた全ゲノム重複に由来する特殊な重複遺伝子「オオノログ」に着目した。これは、これまでの研究で、オオノログが遺伝子数の増減に弱く、たとえば21番染色体が1本増加することによって発症するダウン症候群の原因遺伝子の75%がオオノログであることが分かっているなど、オオノログのコピー数多型が精神疾患の発症と関連があるのではないかと予測されたためである。

研究グループは、まずこれまでに報告されている神経発達障害の原因となるコピー数多型を文献から収集、さらに健康な人のコピー数多型を大規模に調査した研究によって得られた無害と考えられるコピー数多型の情報も収集した。そして、これらを比較し、精神疾患に関わる15のコピー数多型領域位のうち14の領域でオオノログが含まれていることを確認したという。

この90%以上という高い確率でオオノログが含まれているという傾向は、他の有害コピー数多型データを用いても同様に見られる一方、無害のコピー数多型では、30%程度しかオオノログが含まれていないことが確認された。このように精神疾患の原因となるコピー数多型は統計的に有意にオオノログを含んでおり、オオノログを含むゲノム領域の重複や消失が、精神疾患を引き起こすものと考えられるとしている。

今後のさらなる研究の進展にも期待

研究グループでは、今後このオオノログおよびその周辺領域に着目することで、効率的に有害コピー数多型を同定することが可能となり、精神疾患だけでなく、さまざまな病気と関連の深いコピー数多型の解明が進むことが見込まれるとしている。

コピー数多型中の疾患原因遺伝子を突き止める研究の進展も期待され、現在未解明の発症メカニズムの解明や新規治療法の開拓につながることも望まれるだろう。(紫音 裕)

▼外部リンク

東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/

Ohnologs are overrepresented in pathogenic copy number mutations
http://www.pnas.org/content/early/2013/12/24/

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