耳が遠くなる原因として思い浮かぶのは何ですか？　多くの人が、「年をとること」と考えるのではないでしょうか。ところが、耳が遠くなる要因に肥満があげられることが、Brigham and Women’s HospitalのGary C. Curhan氏らの調査から分かったのです。

（この画像はイメージです）

分析の対象となったのは68,421人もの女性たちのデータで、1989年から2009年の間に集められたものです。体型と聴力低下の関係を調べるため、BMIの値、ウェストの値、運動習慣、そして耳が遠くなったという自己申告情報に着目しました。

すると、BMIが高くなればなるほど、耳が遠くなる人の割合が増えることがわかりました。BMIが30－34の人たちと、BMIがこれよりも低い人たちを比べた結果では、耳が遠くなった人の割合が17％高くなっていました。また、BMIが25以上の人たちと、40以上の人たちを比較した場合では、BMI40以上、肥満体型の人で耳が遠くなる割合が4割も高くなっていたのです。

さらに、この関係は、ウェストの値にも現れていました。ウェストが71センチ以下の人と、88センチ以上の人を比べると耳が遠くなるリスクは、27％アップしていたのです。また、ウェストが80センチから88センチの人と、88センチ以上の人たちを比べると、ウェストサイズが大きい人の方が、耳が遠くなる割合が高くなっていたことから、肥満の度合いと耳が遠くなるリスクも関係していると判断されました。

また、週に2時間、またはそれ以上、ウォーキングをする習慣がある人では、耳が遠くなるリスクが低くなることも分かりました。

運動習慣が、肥満のコントロールに有効なことは言うまでもありません。今回の調査では、運動を行って体型を管理していくことで、耳が遠くなるリスクも同時に下げられる可能性があることが分かりました。健康によいとされる運動習慣や体型の管理は、体中のさまざまなところにメリットがあるのですね。（唐土　ミツル）

▼外部リンク

Body Mass Index, Waist Circumference, Physical Activity, and Risk of Hearing Loss in Women
http://www.amjmed.com/article/