全米最大のアルツハイマー型認知症の研究機関と共同で
富士フイルム株式会社は、米国でのアルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」の開発迅速化のため、Alzheimer’s Disease Cooperative Study(以下、ADCS)と共同で、第2相臨床試験を実施することを発表した。
現在、既存のアルツハイマー型認知症の治療薬は、神経伝達能の増強による症状改善作用は示す一方、病態の進行を抑制することが難しいといわれている。
(画像はwikiメディアより引用)
でに米国の試験では、悪化の抑制と安全性を確認
富士フイルムは、グループ会社の富山化学工業にて、強力な神経細胞保護効果及び神経突起伸展促進効果を有するという「T-817MA」を創製した。既に実施した米国における前期第2相臨床試験では、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者で、認知機能評価スコアや全般的臨床症状評価などの悪化を抑制する傾向が認められ、良好な安全性も確認された。これを受け、今回、富士フイルムは、有効性及び用量反応性を評価する第2相臨床試験を実施することとしたという。
現在、認知症の患者数は、全世界で36百万人、平成42年には66百万人に到達すると予想されている。そのうち、アルツハイマー型認知症の患者数は、米国で5百万人以上であり、平成42年には8百万人に達すると見込まる。また今後高齢化が進む日本においても、看過できない患者数に達することは容易に想像でき、老老介護などの社会問題にも発展していく状況である。よって、アルツハイマー型認知症治療薬の開発が非常に重要となる。
富士フイルムは今後、ADCSとの協働を通じて、臨床開発のスピードと質を向上させ、「T‐817MA」の開発を加速させていきたいとしている。(堤朝子)
▼外部リンク
富士フイルム株式会社 ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/