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理研 クラウドを利用した画像データの新基盤システムを開発

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2013年12月16日 PM07:49

最新医療分野における画像処理と大規模データの共有化

独立行政法人理化学研究所は12月5日、タブレット端末など、安価で一般的な端末でも、計算負荷の高い3D画像処理や大規模データの共有管理を可能にするクラウドを用いた基盤システム「(Image Communication Platform)」を開発、2014年の1月末より試験運用を開始すると発表した。

このシステムは、理研光量子工学研究領域画像情報処理研究チームの森田正彦テクニカルスタッフ、横田秀夫チームリーダー、情報基盤センターの姫野龍太郎センター長らの共同研究グループが開発した。

近年医療分野においても、レーザー顕微鏡を用いた研究観察では、時間間隔で測定した波長ごとの強度を画像データとして取得したり、非破壊計測技術であるX線CTやMRIで対象物の内部構造を画像データで取得したりと、画像データの取り扱いが増えている。また、その得られた複数の画像データを3D画像処理で解析したり、共有情報として管理したりすることは、その共同研究において新しい知見を得たり、提案する理論モデルの正当性を得たりするために、非常に重要なものとなっている。

しかし、最新の解析技術を用いるには、研究室ごとに高性能なコンピュータや高価なソフトウェアが必要となるほか、高度なスキルも要求され、画像処理を専門的に研究対象としない研究室にとっては、複雑な運用とコスト増の問題が大きな課題となってきている。

(画像はプレスリリースより)

VCATをクラウドに拡張

そこで、共同研究グループでは、こうした課題を解決するため、高性能かつ簡便な画像処理をひろく提供する、新しい基盤システムの構築を試みたという。

これまで理研では、独自の画像処理システム「VCAT(Volume-Computer Aided Testing)」を開発してきたという。このVCATは、測定物の特徴を保存しながら、高速に画像を平滑化するノイズ除去フィルターや、ボリュームレンダリング、任意の曲線断面による可視化、注目領域の自動抽出、インタラクティブな操作による特定領域の抽出、機械学習による画像分類、力学シミュレーションモデルへの変換といった機能を備えているほか、直感的に操作できるUI(ユーザインタフェース)の「GUI」を搭載しており、使い方も簡単なものとなっている。

研究グループでは今回、このVCATを組み込んでクラウドを用いた仕組みに拡張し、新基盤システムICPを生み出した。ICPでは、市販やオープンソースのソフトウェアも使用できるほか、最新のグラフィックスカードなど高性能なハードウェア群も含めて、パッケージとして使用できるという。

新たに開発したクラウドベースド・インタラクティブ技術を採用しているため、計算負荷の大きな3D画像処理や大規模データの共有管理でも、タブレット端末など安価で一般的な端末で行うことが可能となっている。

(画像はプレスリリースより)

ユーザが操作中に解像度を落として低画質な情報を自動的に送受信する画質自動調整技術も組み込まれており、どんな端末でも負荷なく操作できるという特長もある。加えて、画像処理の履歴に基づいて処理の前後関係を保存する機能や、過去の画像処理における作業履歴をそのまま別のデータに対して適用する機能もあり、これを用いることで、条件を変化させながら得た複数のデータに対し、同じ処理・解析を適用して、結果を比較するといった作業も非常に効率よく行えるようになっているという。

各研究室はクラウドを介し、これらの機能を手軽に、必要に合わせ、新たに投資をすることもなくすべて利用できるため、より合理的に客観的な解析結果を得ることができるようになると考えられる。

このシステムは科学技術全般での活用が期待されるが、医療分野においても有用性の高いものといえるだろう。理化学研究所では、2014年1月末よりICPの試験運用を開始し、将来的には世界中の研究者が用いることのできる画像処理基盤システムとして公開することを目指すとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20131205_2/

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