アルツハイマーの新たな秘密が「首」で見つかりました。米ニューヨーク州立大学バッファロー校、台湾国立陽明大学らからなる国際研究チームが行った調査の結果によると、アルツハイマー病をはじめ、認知症にかかっている人の間では、首の血管に異常が起こることがあるというのです。
(画像はWikiメディアより引用)
異常が見られる血管は、内頸静脈とよばれるもの。脳、顔面表層、首の血液が、心臓に戻る時の通り道となる血管です。報告によると、研究チームでは、アルツハイマーの患者さん12人と、軽度の認知障害が見られる24人の内頸静脈を観察しました。
すると、アルツハイマー病の患者さんや認知症状の見られる人では、内頸静脈を流れる血液の一部が脳に向かって逆流していたことが分かりました。内頸静脈逆流の原因には、加齢による弁の機能の低下などが挙げられます。血液の逆流が起こると、当然脳の中の血液循環に異常が生じることになります。
一方で、これまでに多くの調査で、脳の白質病変とアミロイドプラークは、いずれもアルツハイマー病の患者さんや認知症状の見られる人で観察され、互いに関連しあっていることが分かっていました。
今回の研究では、内頸静脈の逆流がある人では、脳内の白質病変が見られる頻度が高いことが明らかになったため、血管の異常とアルツハイマー・認知症状に関連があることが、強く疑われる結果となりました。
この報告は、あくまでも予備調査の規模に基づいているため、今後より多くの症例での内頸静脈の様子を追跡することで、アルツハイマー病や認知症のメカニズムの解明が一歩進むことが期待されています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Beyond the brain: vascular changes in the neck may play role in Alzheimer’s
http://www.buffalo.edu
Jugular Venous Reflux and White Matter Abnormalities in Alzheimer’s Disease: A Pilot Study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/