高エネルギーに加速された陽子をがん患部に照射
住友重機械工業株式会社は、11月29日、同社の陽子線がん治療装置(製品名:陽子線治療システム)に関し、2013年11月19日付で米国食品医薬品局(FDA)による米国内販売許可を取得したことを発表した。
水素原子核の陽子を高エネルギーに加速させ、対象となるがん細胞にのみ集中的に照射する放射線治療法の一種である陽子線治療は、がん細胞周囲の正常組織に対する影響が少なく、副作用を最小限に抑えることができる治療として、近年世界的に注目を集めている。この場合、がん治療を通院治療によって行うことも可能だ。
住友重機械工業では、1997年に国立がん研究センター東病院に初号機を納入して以来、日本国内のみならず、アジアを中心に各国で販売を展開してきた。
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念願の米国市場参入、新コンパクトモデルは日本国内でも承認申請中
同社は、米国市場への参入を長く目指してきており、今回のFDAによる許可取得は念願のものといえ、これをもって医療機器として米国市場での販売が可能となった。
承認を取得した「陽子線治療システム」は、患者に対し、360度あらゆる角度からの陽子線照射を可能にする回転ガントリーを小型化、敷地面積を従来比で約30%削減することに成功したコンパクトモデルとなっているという。現在、日本国内でも医療機器承認申請中であり、今後の現場への導入が期待されている。
陽子線がん治療装置は、現在日本国内で9施設、米国で12施設が稼働しているといい、QOLの高いがん治療法として、今後、世界でさらにその普及が見込まれる。(紫音 裕)
▼外部リンク
住友重機械工業株式会社 お知らせ
http://www.shi.co.jp/info/2013/
FDA 510(k) Premarket Notification
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/