■医療用薬の“対面”も明記
一般用医薬品の新たな販売ルールを定めた「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」が5日、参院本会議で自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。改正薬事・薬剤師法は、ほぼ全ての一般薬についてインターネット販売を解禁する一方で、劇薬指定品目と医療用から一般用に転用して安全性評価が終わっていないスイッチ直後品目は「要指導医薬品」という新たなカテゴリーを設け、薬剤師による対面販売に限定する。医療用医薬品の対面販売も法律に明記するなど、薬局や薬剤師には、これまで以上に地域の健康拠点としての役割が期待される内容となった。
スイッチ直後品目は、これまで4年間かかっていた安全性評価を原則3年以内に短縮し、評価中の医薬品は対面販売を義務づける。評価が終わり次第、一般用に移しネット販売を認める。
第1類の販売に当たっては、対面でも年齢や医薬品の使用状況確認などを義務づける。また、情報提供義務の免除規定を見直し、薬剤師が「説明不要」と判断しない限り、使用者の情報収集や説明を行うようにする。
また、「指定薬物」の乱用を防止するための規定も盛り込んだ。現行の薬事法では、輸入、製造、販売、授与、販売目的の貯蔵等を禁止しているが、新たに所持、使用も禁止し、違反した場合に罰則を科す。
改正薬事・薬剤師法は、11月22日から衆院で審議が開始され、28日に可決し参院に送付されていた。今月3日の参院厚生労働委員会で田村憲久厚生労働相が法案の趣旨を説明した。
集中審議を行った5日の同委員会は、民主党、社民党などが与党側の国会運営に反発して欠席する中で法案の採決が行われ、自民・公明の両党と日本維新の会の賛成多数で可決。その日のうちに本会議に上程され、可決・成立した。
5日の参院厚労委では、ほぼ全ての一般薬のネット販売が解禁されることを受け、藤井基之議員(自民)がネット上のショッピングモールを管理する事業者の責任を明確化する必要性を指摘。
厚生労働省の今別府敏雄医薬食品局長は、店舗が無許可であることを知っていたり、偽造医薬品を販売していることを知りながら、出店させていたといった事例を挙げ、「そのようなケースであれば、無許可業者と同様の責任が生じる」と述べた。
■99.8%解禁は「残念」‐児玉日薬会長
改正薬事・薬剤師法の成立を受け6日、厚労省で会見した日本薬剤師会の児玉孝会長は、99・8%の一般薬でネット販売が解禁されることに対して、「残念」とする一方で、要指導医薬品の新設や、法律で医療用医薬品を含む薬局医薬品の対面販売が義務づけられたことについては「評価したい」との印象を語った。
その上で、一般薬による副作用リスクを「どのようにカバーできるか、しっかりやっていきたい」とした。
日薬の藤原英憲常務理事は、今後、新たな販売ルールの遵守方法をはじめ、医薬品の副作用や有害事象の情報収集のさらなる強化を検討すると共に、医薬品使用に関する購入者の不安や副作用などの相談に積極的に応じるキャンペーンなどに取り組んでいくことを明らかにした。