高齢者の死因 肺炎は第3位
加齢とともにものを飲み込む嚥下(えんげ)機能が低下して起こる誤嚥。この誤嚥をきっかけとして発症する誤嚥性肺炎は、高齢者における死亡原因の第3位(厚生労働省「平成23年人口動態統計」より)となっている肺炎の中で大きな割合を占めている。そこで味の素製薬株式会社は11月13日、「“誤嚥性肺炎”の予防と、適切な栄養摂取について」と題したセミナーを開催。昭和伊南総合病院 消化器病センターの堀内朗センター長が講演した。
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経口の栄養補給が困難な患者に対し、誤嚥性肺炎を防ぎ、適切に栄養補給を行うため、胃ろうを造設することも多い。しかし、長期間の胃ろうは嘔吐とそれに伴う逆流性食道炎、下痢やリークなどを引き起こし、病院スタッフや介護者の負担を大きくしている実態がある。これらの症状を緩和するため、堀内朗先生は成分栄養剤エレンタールの効果を検証した。
エレンタールで下痢、嘔吐、リークが改善
下痢の症状については、患者13人に投与したところ、5日以内にすべての患者で下痢の症状が治まったという。これは脂肪、残渣が少ないというエレンタールの特性が、排便に好影響を与えたとしている。さらにエレンタール投与後、胃ろうチューブの解放を行うことで胃内減圧が起こり、嘔吐、リークが改善、ペグ周辺に見られた皮膚炎が改善されたと語った。
開発が望まれる高カロリー商品
一方で堀内先生は、どうしても必要な患者以外に胃ろう造設を行うことは望ましくないという考えに立ち、嚥下内視鏡検査を実施した。喉頭蓋谷に食物残留が認められた場合、経口からの栄養補給が十分できる状態にあると堀内先生は語る。しかし、このような状態の患者が簡単に栄養補給できる商品は、現在それほど多くないそう。高カロリーゼリーなどといった嚥下障害を持つ患者や高齢者でも簡単に飲み込むことができる製品の開発が強く望まれると語った。(QLife Pro編集部)
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