ヤクルト・ヨーロッパ研究所が論文を発表
株式会社ヤクルトは、出産前の母親の腸管内に常在するビフィズス菌が新生児の腸管に受け継がれることを明らかにしたと、2013年11月26日発表した。同社ヨーロッパ研究所での研究成果で、米国学術誌「PLOS ONE」オンライン版に2013年11月14日付で掲載されている。
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出産前の妊婦と新生児の便からビフィズス菌株を単離
ヤクルト社ヨーロッパ研究所及びニュートリシア・リサーチ・ユトレヒト・オランダでは、健康な妊婦を対象に、出産前の妊婦と出生後の新生児の便からビフィズス菌を経時的に単離し、8組の自然分娩母子のうち6組において、母親と同一菌株のビフィズス菌(Bifidobacterium longum subsp. longum)が、新生児から検出されたことを2011年に報告している。
自然分娩と帝王切開の違い
今回の研究では、複数種のビフィズス菌株に関して、腸管内に常在しているビフィズス菌をそれぞれ単離し、これらが同一菌株であることの実証に加えて分娩様式の差異についても解析した。自然分娩12組と帝王切開5組の母子の便を調べた結果、自然分娩では12組中11名から母親と同一のビフィズス菌株が分離。帝王切開で出生した場合には母親と同じ株のビフィズス菌は検出されず、腸管内におけるビフィズス菌の定着も自然分娩よりも遅いことがわかった。
妊婦の健康な腸内細菌叢が大切
ヤクルト社では、出生後早期に母親のビフィズス菌が新生児の腸管内に受け継がれ、これが出生後の腸内細菌叢を構築する要因となっていると考えている。これにより、免疫がまだ発達していない新生児を病原菌から守っていることも推察される。そのため、生まれてくる子どもの健康のために、妊婦が良好な腸内環境を維持することが大切だとしている。同社は、さらにこの研究を発展させ、腸内細菌と母子の健康との関係の解明につなげたいとしている。(長澤 直)
▼外部リンク
株式会社ヤクルト プレスリリース
http://www.yakult.co.jp/news/
Mother-to-Infant Transmission of Intestinal Bifidobacterial Strains Has an Impact on the Early Development of Vaginally Delivered Infant’s Microbiota
http://www.plosone.org/article/