早期診断や早期治療を可能に
大阪市立大学は2013年11月25日、腎機能をより正確に評価する計算式を作成したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは、同大学大学院医学研究科の石村栄治准教授、津田昌宏医師らの研究によるもの。糖尿病性腎症における腎機能をより正確に推算し、早期診断や早期治療を可能とするという。
この研究成果は、米糖尿病学会雑誌「Diabetes Care」オンライン版に2013年10月15日付で掲載された。
ヘモグロビンA1Cで補正
研究グループは、腎機能の評価指標である糸球体濾過率(GFR)を信頼性の高い測定方法であるイヌリンクリアランス(Cin)と臨床現場で使われている推算糸球体濾過率(eGFR)で測定。糖尿性腎症では、2つの測定の間に誤差が生じてしまう要因を検討した。
その結果、血糖コントロールが悪いほど、eGFRがCinと比較して誤差が大きくなること、そして、この誤差は高血糖状態における尿細管機能障害により引き起こされている可能性があることが判明。このため研究グループは、ヘモグロビンA1Cで補正する計算式を作成したという。
診断・予防の遅れや不適切な治療防止に
日本では現在、人工透析を受けている患者は30万人を超えており、そのうちの37%が糖尿病によるものとされている。強く疑われる人、可能性を否定できない人をあわせた糖尿病患者は2,210万人以上いると推定され、早期診断・早期治療が必要とされている。
今回の研究成果は、診断・予防の遅れや不適切な治療の防止につながることが期待される。(小林 周)
▼外部リンク
大阪市立大学 プレスリリース
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2013/hdeuju
Poor glycemic control is a major factor in the overestimation of glomerular filtration rate in diabetic patients
http://care.diabetesjournals.org/content/early/2013/10/