■病院の65%「効果あった」‐勤務医負担軽減を裏づけ
厚生労働省は11月29日、病院勤務医の負担軽減に関する2013年度調査の速報結果を、中央社会保険医療協議会総会に示した。特に薬剤師の病棟配置が効果的だったと回答した病院が6割以上に上ったほか、診療科医師の約4割が負担軽減につながったと評価していることが明らかになった。さらに、医師の約8割が薬剤師の病棟業務を「日常的に必要」と考えていることも判明。薬剤師の病棟配置が高い評価を得ていることを裏づける結果だった。
病院調査の結果によると、病棟薬剤業務実施加算の施設基準を届け出ている施設は全体の16・2%だった。勤務医の負担軽減策として、薬剤師の病棟配置に取り組んでいる施設は全体の39・7%、届出施設では66・7%に上った。その中で、効果のあった勤務医の負担軽減策としては、「薬剤師の病棟配置」を挙げた施設が64・6%と6割を超えていた。また、看護職員の負担軽減策としても、72・6%の施設が薬剤師の病棟配置が効果的だったと評価していることが分かった。
内科、外科、小児科等、各診療現場の医師に調査した結果では、診療科で負担軽減策として行っている取り組みに、薬剤師の病棟配置を挙げた医師が46・8%あった。その効果について「どちらかといえば効果があった」を含めると、79・1%が効果があったと回答し、医師の約8割から高い評価が得られていることが分かった。
薬剤師の病棟業務の状況については、診療科の医師が担当している病棟への配置状況が63・0%に上っており、病棟で薬剤師が実施している業務としては「医薬品の投薬・注射状況の把握」が82・6%と最も多かった。「患者の状態に応じた積極的な新規・処方変更の提案等」の前向きな取り組みも43・5%に見られた。
病棟薬剤師が実施することで医師の負担軽減につながったと考えられる業務としては、「入院時の持参薬の確認および服薬計画の提案」が68・7%と最も多く挙げられ、医政局長通知に示された「薬物療法プロトコルについて提案、協働で作成、進行管理」の業務を挙げた医師も30・7%に見られた。
さらに、薬剤師が病棟配置されたことによる影響を聞くと、「医師の薬剤関連業務の負担が軽減した」との回答が68・2%に上り、これら医師の75・2%が薬剤師の病棟業務について「日常的に必要な業務」と考えていることが明らかになった。
一方、薬剤部長等の責任者を対象に、薬剤師の病棟業務を調査した結果も報告された。今年6月時点で、病棟薬剤業務実施加算を届け出ている施設は15・7%にとどまった。届け出をしていない理由としては、「薬剤師の人数が不足しているため」が78・7%と最も多く、人員不足が加算の障壁になっていることがうかがえた。
ただ、届け出に当たって「薬剤部職員の増員を行った」施設も58・2%と、約6割の施設が増員による対応を行っていることも分かった。病棟に薬剤師を配置したことで、「薬剤師による処方提案の件数の変化」が増えたとの回答が86・3%に上るなど、病棟配置によって積極的な業務が展開されていることがうかがえた。薬剤師の勤務状況を見ると、1週間当たりの病棟薬剤業務実施加算に該当する時間は、平均15・6時間だった。