■疑義照会関連が1割突破
日本医療機能評価機構は11月28日、2012年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。昨年の薬局におけるヒヤリ・ハット事例の報告件数は7166件で、そのうち医師の処方箋の誤りを薬局で発見した疑義照会関連が前年に比べて増加し、全体の10・2%と1割を突破した。初めて一般名処方とお薬手帳に関する事例も取り上げ、特にお薬手帳の確認から疑義照会を行い、重複して処方された薬剤削除につながった事例が多数判明。ヒヤリ・ハット事例の再発防止に、お薬手帳を活用していく重要性が明らかになった。
12年に報告されたヒヤリ・ハット事例は、調剤関連が6424件(89・6%)、疑義照会関連が730件(10・2%)、医薬品の販売関連が3件等となった。そのうち疑義照会関連のヒヤリ・ハット事例は前年の7・4%から増加し、全体の1割を突破した。
疑義があると判断した理由を見ると、「処方箋と薬局で管理している情報で判断」が52・2%と、前年の45・9%から増加した。薬局薬剤師が処方箋だけでなく、薬歴や患者へのインタビュー情報等も活用し、疑義照会を行ったところ、薬剤変更となった事例が35・5%、薬剤削除となった事例が32・3%に見られた。薬局が誤った処方箋を発見し、医療事故防止に重要な役割を果たしていた。
今回、お薬手帳と薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット事例の分析を初めて行った。お薬手帳と薬剤情報提供書に関する事例は221件(3・1%)。そのうち、疑義照会した事例の変更内容を見たところ、薬剤削除となった事例が98件と、特に多かった。
また、変更前の処方通りに服用した場合、患者に生じた健康被害の可能性を調べると、「健康被害があったと推測される」事例が86件(66・2%)に上った。お薬手帳を活用した処方変更が健康被害の防止につながっていると考えられた。
薬剤削除した事例は、多くが重複して処方された薬の削除だったことから、同機構は「お薬手帳や薬剤情報提供書は、重複処方の発見に有用と考えられた」とし、患者の健康被害防止にお薬手帳等を活用することの重要性を指摘した。
新たに一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例の分析も行った結果、昨年報告された7166件のうち229件(3・2%)となった。調剤に関する事例209件の内訳を見ると、薬剤取り違えが64・6%と突出して多く、次いで規格・剤形間違いが17・2%となった。
報告数が多かった医薬品の一般名は、高血圧治療剤の「アムロジピン錠5mg」が8回、「アムロジピン錠2・5mg」が7回、「アムロジピン口腔内崩壊錠2・5mg」が5回、「アムロジピン口腔内崩壊錠5mg」が3回とアムロジピンが多くを占めた。成分名でもアムロジピンベシル酸塩が23回と特に多かった。
アムロジピン製剤は、多くのGE薬メーカー等が販売に参入しており、規格・剤形、銘柄名の多さがヒヤリ・ハット事例につながっていることが考えられた。同機構は、「屋号を間違わないよう表記、外形の工夫など、まだ実施できる対応がある」としている。