厚生労働省は27日、試行導入中の新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、次期薬価制度改革で制度化する方向性を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。小児や希少疾病薬などを国内開発する条件付きで、後発品への置き換えが進まなかった先発品の新たな特例引き下げとセットで制度化することが前提となる。ただ、支払側委員から「時期尚早」との意見が相次ぎ、理解は得られなかった。
厚労省が示した論点整理では、一定期間に後発品への適切な置き換えがなかった先発品の薬価を特例的に引き下げるルール導入を前提に、新薬創出等加算の制度化を提案した。
運用に当たっては、中医協で小児やアンメットニーズに対応した医薬品などの研究開発が適正に実施されているか改定ごとに確認するとし、こうした真に医療の質向上に貢献する医薬品を開発している企業の品目のみに加算を適用するという条件付きであることも示した。
しかし、石山惠司委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会部会長代理)は、「どう見ても制度化は時期尚早」と反対姿勢を表明し、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)も「新薬創出とドラッグラグ解消の貢献のための薬価維持が、乖離率を基準に決まっているという疑問点がまだ解決していない」と難色を示した。矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)も「現時点で制度化は賛成できない」と述べ、支払側は揃って反対姿勢を示した。
■必須薬の新提案は了承
一方、この日の部会では、医療上必要性の高い医薬品の薬価改定の見直しについて、注射薬の最低薬価が大容量の輸液バッグなどであっても、内容量に関係なく1管または1瓶56円となっていることから、厚労省が容量に応じた最低薬価を設定する方向を提案。委員から異論はなく、概ね了承された。
また、画期性加算と有用性加算の加算率について、定量的に算出する方法論を検討する厚生労働科学研究の実施状況が示された。副作用の軽減などの加算理由をポイント制で定量化する方向など検討が進められており、来年3月にも算出法が報告される予定。