喘息治療薬、成人18歳以上の治療に拡大を申請
ベーリンガーインゲルハイムは11月13日、「チオトロピウム レスピマット(R)」の適応を、欧州において18歳以上の成人喘息患者の治療に拡大する申請を提出したことを発表した。
現在の治療選択肢をもってなお、喘息患者の少なくとも40%で症状改善が不十分であり、ときに致死的な喘息発作を引き起こしている現状において、同薬が承認されれば、このアンメット・メディカルニーズへ貢献することが期待されるという。
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世界150カ国以上4,000人以上の登録患者で試験
今回の欧州での承認申請は、世界150カ国以上で4,000人以上の患者が登録しているUnTinA-asthma第3相臨床試験プログラムの結果に基づいて行われている。
UnTinA-asthma臨床試験プログラムは、喘息患者におけるチオトロピウムの安全性を評価するために計画されたもの。合計11の第3相試験が含まれており、成人・青少年・1歳以上の児童のそれぞれにおいて、重症度の異なる持続性喘息患者を対象とし、通常の治療に追加投与した際のチオトロピウム レスピマットについての検討が実施されている。
UnTinA-asthma第3相臨床試験プログラムで得られた最初の結果では、高用量ICS/LABAの併用治療を受けてもなお、症状の改善が不十分であった喘息患者において、プラセボ追加投与群と比較して、チオトロピウム レスピマットがはじめの重度の喘息発作までの期間および最初の喘息悪化までの期間を有意に遅らせたことが示され、またその安全性も確認されたという。
さらに2013年9月7日~11日の期間で開催された、欧州呼吸器学会総会において、初めて発表された2つのMezzo TinA-asthma第3相試験のデータも提出されている。この試験では、チオトロピウム レスピマットの追加投与により、中用量のICSを用いても症状の改善が不十分であった患者の肺機能が有意に改善し、24時間という長期間にわたり、持続的に気管支拡張効果がもたらされたほか、喘息管理において統計的有意かつ臨床的に重要な改善がみられたとされている。
COPD治療薬から喘息の治療薬へ、来年には小児対象の試験結果も
チオトロピウムは、190件以上の治験の包括的データに基づいてCOPDの治療薬として承認されており、ベーリンガーインゲルハイムによると、ハンディヘラーを用いて吸入するチオトロピウムは、10年前に発売されて以来、その有効性と安全性プロファイルを支持する年3,100万以上の患者に対する販売実績があるという。
今回の申請により、治療対象が拡大され、成人喘息患者の新たな効果的治療選択肢となる可能性がある。なお、2014年には、小児を対象にしたUnTinA-asthma第3相試験の結果も発表される予定とのことだ。(紫音 裕)
▼外部リンク
Boehringer Ingelheim プレスリリース
http://www.boehringer-ingelheim.com/news/news_releases/