ビンダケルカプセル20mgについて
ファイザー株式会社は11月20日、希少な難治性神経疾患であるトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の末梢神経障害の進行抑制に対する国内初となる治療薬「ビンダケル(R)カプセル20mg」(一般名: タファミジスメグルミン)の発売を発表した。
(画像はプレスリリースより)
TTR-FAPは、全身の臓器に機能障害を起こす進行性の神経疾患で、発症から平均10年で死に至るとされている。これまで、進行抑制が期待できる唯一の方法は肝移植だったが、ドナー不足、手術時の合併症、術後の免疫抑制剤の長期投与等の問題から、対象となる患者は非常に限られていたのが現状だ。
「ビンダケルカプセル20mg」は、トランスサイレチン4量体の解離を抑制することでトランスサイレチンを安定化する薬剤であり、末梢神経の変性を引き起こすアミロイドの蓄積を抑制する機序を有しているという。
2011年11月に世界で初めて、TTR-FAPの末梢神経障害の進行を抑制する治療薬として欧州で承認されたビンダケル。日本では2011年8月に第1相試験を開始しており、2013年2月に製造販売承認申請を行っていた。また、厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査として審査が進められたこともあり、本年9月20日、申請から7ヵ月という非常に短期間で製造販売承認を取得した。
TTR-FAP治療の発展に期待
名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学 教授の祖父江元氏は次のように述べている。
これまでのTTR-FAPの治療法は肝移植しかありませんでした。しかしながら多くの患者さんが臓器提供をうけることなく、対症療法のみの辛い日々を送り、お亡くなりになるのが現状でした。我が国は世界的にTTR-FAPの集積地ですが、ビンダケルの発売により内服薬で早期から治療介入できることは、すべてのTTR-FAPの患者さんにとって大きな福音となり、今後のTTR-FAPの診断と治療の発展が期待されます。(ファイザー株式会社 プレスリリースより引用)
投薬という新たな選択肢が増えたことにより、治療を受けられる患者が増えることとなる。今後も、より良い治療のためのたゆまぬ努力が望まれる。(伊庭)
▼外部リンク
ファイザー株式会社 プレスリリース
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/