イヌの腎臓尿細管由来の細胞株を用いた研究
東北大学は11月20日、腎臓尿細管の上皮細胞の大きさを制御する新たな分子を同定したことを発表した。
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これは同大学大学院生命科学研究科の安田貴雄博士の研究室によって、イヌの腎臓尿細管由来の細胞株を用いて突き止められたもの。11月27日、イギリスの科学雑誌「Journal of Cell Science」(電子版)に掲載された。
囊胞性腎疾患治療への応用に期待
腎臓尿細管は、単層上皮と呼ばれる大きさの揃った一層の上皮細胞が互いに密着し合うことによって成り立っている。腎臓が正しく機能するためには、個々の上皮細胞内での細胞内小胞輸送に加えて、大きさの揃った上皮細胞を正しく配置し、管状の構造を取ることが重要とされている。これらの機構の破綻は、腎臓機能の障害を引き起こし、人工透析が必要になる状態へと直結する。
安田博士の研究室ではこれまでに、胃や腸の消化管、腎臓尿細管の上皮細胞の隣り合った細胞や細胞外マトリックスのいずれとも接していない膜領域への小胞輸送を制御する分子として低分子量Gタンパク質の一種Rab27とその結合分子Slp2-aを同定していたが、Slp2-aには小胞輸送を行う際に重要なRab27と結合する部位以外にも機能未知の部位が存在しており、それらの上皮細胞における役割は明らかではなかった。
今回、研究室は細胞膜に存在するSlp2-aに上皮細胞の大きさを制御する新たな機能があり、その機能を破綻させると細胞の大きさが肥大することを明らかにしたという。腎臓肥大を伴う囊胞性腎疾患モデルマウスでもSlp2-aの発現異常が確認されたことから、今後、囊胞性腎疾患の新たな治療への応用も期待される。(小林 周)
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp
Slp2-a controls renal epithelial cell size through regulation of Rap–ezrin signaling independently of Rab27
http://jcs.biologists.org/