細胞分裂の実態に関する今回の研究成果
京都大学の研究チームは、11月15日、名古屋大学と共同で行ったマウスを用いた細胞質分裂に関する実験において、アクチン重合分子mDia2を欠乏させた場合、細胞分裂が失敗することを明らかにしたと発表した。
これまで研究チームは培養細胞を用いて、細胞質の分裂の際に、低分子量G蛋白質Rhoが分子スイッチを担っていることや、分裂の際にmDia2が働いてアクチン繊維を作り出していることを報告してきた。
今回の研究において、細胞分裂時のRhoと、その標的である蛋白質のアクチン重合促進分子mDia2の、個体での働きが明らかになった。これにより、細胞分裂の基礎見解に重要な知見を与えたとしている。
この成果は、14日付けのオンライン版「Cell Reports」をはじめ、15日付の日刊工業新聞にも掲載された。
(画像はwikiメディアより引用)
アクチン重合分子mDia2とは
今回の研究の鍵となるのは、アクチン重合分子mDia2。細胞内にはアクチン繊維というものがあるが、これは細胞内に存在する球体の蛋白質で、細胞内の骨格となる成分である。
われわれの体は、細胞が分裂することによって形成されていることは周知の事実である。核分裂の後、細胞質の分裂によって細胞分裂の一連の流れが終了する。この際、アクチンが細胞の形成に関連していることはわかっていたが、どのような分子が働き、どの程度の重要性があるかについては、未解決のままだった。
今回、分化誘導実験を行い、このアクチン繊維が、被験マウスによるmDia2欠損赤芽球において、蛋白質の多く集積する収縮環のアクチン繊維重合に支障があることを検出したという。これにより、細胞分裂にはmDia2によるアクチン繊維の形成が大切な役割を担っていることを明らかにした。(dirie)
▼外部リンク
京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/