■「要指導医薬品」など質疑
一般用医薬品の一部にインターネット販売規制をかける「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」の関連質疑が22日、衆院厚生労働委員会で行われ、国会審議が本格的にスタートした。法案で、正当な理由なく使用者以外の者に販売してはならないと規定されているスイッチ直後品目などの「要指導医薬品」に関する質疑では、今別府医薬食品局長が、「正当な理由」の範囲について、今後、施行通知で明らかにする考えを示した。
薬事法改正案は、一般薬のうち、医療用から転用されたばかりのスイッチ直後品は安全性評価が終わるまでネット販売を認めず、薬剤師による対面販売に限定し、劇薬5品目のネット販売は禁止。スイッチ直後品の安全性評価を現在から1年程度短縮し、原則3年以内に終わらせる。
また、「指定薬物」について、医療や研究目的以外で所持、使用する行為も罰則付きで禁止することなどが柱。20日の衆院厚生労働委員会で田村憲久厚生労働相が趣旨説明を行い、審議入りしていた。
法案では、要指導医薬品の使用者以外の者に対して、正当な理由なく販売または授与してはならないとしている。
重徳和彦議員(維新)は、「要指導医薬品」を販売してはならない正当な理由の具体例を質した。
田村憲久厚労相は、「例えば災害時など、どうしても本人が来られないというような、緊急避難的なことを想定している」と応じたが、重徳議員は、「何となく幅広に解釈できてしまう規定で、正当な理由さえあれば本人に売らなくてもいいと言わんばかりの条文があると、バランスの悪い法案になってしまうのでは」との懸念を示した。
今別府敏雄医薬食品局長は、「実際は、緊急避難的な災害等の場合に限定されるということで、極めて狭い範囲のもの」とした上で、「法案が通り、施行されれば、施行通知の中で示したい」との考えを示した。
また、一般薬が原因とされる副作用のうち、対面ではなかったために起こった事例を明らかにすることも求めた。
今別府医薬食品局長は、「調査では、販売経路が必ずしもはっきりしないものが400件以上ある」と断った上で、2010年7月29日から今年6月30日までのデータを紹介、「全体で副作用被害が635件あり、このうち、対面でないという経路であるものが44件あった」と答えた。