吉田氏は、後発品の初収載薬価について、安定供給を維持するため、原薬仕入れ先の複数化やリスク分散のための製造設備投資等のコスト増加要因を提示。先発品の7割品目で、初回薬価改定後も6割以上を維持している品目が30%を占めるデータを示し、7割の維持を要望した。
後発品薬価の大幅なバラツキについては、日本の薬価制度が市場実勢価格に基づく銘柄別収載となっている点を強調。「これ以上価格帯をまとめると、後発品メーカーのやる気を削ぐ」と訴え、ルールの再検討を求めた。
委員からは「薬価差が大きい方が販売しやすいのでは」と意見が出たが、吉田氏は「薬価差を出しても、現行制度では必ずしも数量が増えない事実がある」と反論。あくまでも取引の結果であることを強調した。
その上で、価格帯のさらなる削減に言及。「これ以上まとめると、薬価制度の根幹を大幅に変更することになり、これまで各社が積み重ねてきた長年の努力が無視される形になってしまう。もっと時間をかけ、根本的に後発品の使用促進をどうするかを議論してほしい」と述べ、急激な制度変更の緩和を要望した。
■置き換え進まぬ長期品‐特例引下げめぐり議論
一方、後発品への置き換えが進まない長期収載品の特例引き下げについても議論した。厚労省は、ロードマップの目標を参考に、後発品初上市から5年が経過した後、最初の薬価改定を行う長期品の市場占有率が40%以下(後発品数量シェア60%以上)になっていない場合、特例引き下げを行う案を示していた。
この日の部会では、長期品について、後発品初収載時の4~6%の特例引き下げと、5年後に40%以下にならず後発品への置き換えが進んでいない場合の特例引き下げの扱いをめぐって議論した。
厚労省は、新薬創出等加算の返還分、後発品への置き換え額、初収載時の特例引き下げ分、5年後40%以下にならない長期品の特例引き下げにより、新たな特例引き下げ率を検討する方向性を提示した。
ただ、委員からは「特例引き下げ率は、根拠を持って出さないと納得が得られないのではないか」と指摘があり、ロードマップでは5年間で1・5倍を目指すのに対し、新たな特例引き下げの目標は、後発品初収載時の0%から60%を目指す極めて高い目標となるため、改めて置き換え率について、次回事務局から案を提示し、引き続き議論することになった。厚労省によると、長期品で5年後も40%以下にならない場合に適用される新たな特例引き下げの対象品目は、1500~1600品目に上ると見られる。