■「医薬品医療機器法」に名称変更
添付文書の届け出義務を製造販売業者に課すことなどを盛り込んだ「薬事法等の一部を改正する法律」と、iPS細胞などを用いた再生医療を安全で迅速に提供するための「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が20日、参議院本会議で可決、成立した。改正薬事法では、医薬品・医療機器の安全対策をより強化すると共に、日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出や、再生医療製品を早期に実用化に結びつけるための措置が講じられている。
市販後の安全対策強化に向けては、最新の知見に基づいて作成した添付文書を厚生労働大臣に届け出ることを企業に義務づけ、市販後に迅速かつ網羅的に安全性に関する情報が収集できる仕組みを導入する。
また、医薬品・医療機器の品質、有効性、安全性の確保にかかる責務を国や都道府県、製造販売業者、医療関係者に課す。
再生医療製品の特性を踏まえた規制も新たに設ける。法律で「再生医療等製品」を新たに定義すると共に、人の細胞を用いるため製品の品質が不均一になったり、多くの症例が集まらないなどの点を考慮。症例数が少なくても治験で有効性が推定され、安全性が確認できれば条件付きで早期承認し、有効性・安全性の検証は承認後に改めて行う「条件及び期限付き承認制度」を新たに導入する。
これにより、実用化までの期間が従来の半分程度に短縮できるという。
今回の改正薬事法では、医療機器の迅速な実用化と規制の合理化を図るため、医療機器の規制を分離するなど、医療機器の特性を踏まえた制度改正も行った。薬事法の医療機器の関係条項を医薬品とは別に設け、医療機器の「章」を新たに追加。薬事法の名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改めることとなった。
採決に際しては、▽医薬品行政を監視・評価する第三者組織の設置に向けた速やかな検討を行うこと▽臨床研究の実施に当たり、被験者保護の実効性確保のため、法制化の必要性を含めて検討を行うこと――とする付帯決議を採択している。
19日の参院厚生労働委員会では、厚生労働省医薬食品局の今別府敏男局長が最新知見を添付文書に反映させるためのガイドライン(GL)を作成することを明らかにした。
今別府局長は、最新の知見に基づく添付文書の作成に当たり、「市販後の副作用情報や最新の論文の継続的な収集など、最新の情報の収集方法等に関するGLを作成することにしている」と述べた。
また、「企業は最新の論文に加え、市販後の副作用情報や海外当局からの情報等も収集した上で、PMDAで必要に応じて外部の専門家の意見も聴いて科学的根拠をしっかり評価・検討し、添付文書に反映するかどうかを判断する」とし、論文だけでなく、科学的根拠も評価した上で添付文書の改訂を判断する点を強調した。