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厚生労働省、薬物療法提供体制強化事業、9カ所を選定―目立つ多職種連携の取組み

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2013年11月20日 AM09:54

厚生労働省は、2013年度予算で実施する「」(4000万円)の実施主体となる都道府県9カ所を選定した。選ばれたのは、北海道と宮城、長野、三重、徳島、高知、福岡、佐賀、長崎の8県で、ほぼ全ての都道府県が地域の薬剤師会と連携して事業を行う予定。各県の事業内容としては、在宅医療推進に向けた研修会の開催や、多職種連携強化のための取り組みが目立つ。当初、全国で8カ所(1カ所500万円)を選定する予定だったが、「予算内でより多くの地域で事業を展開してもらう」(厚労省)ため、1カ所増やした。徳島県と高知県が250万円になる見通し。

同事業は、抗癌剤など使い方が難しい薬剤を用いた治療や適切な服薬指導などについて、薬剤師がチーム医療の一員として、訪問や相談、情報提供をスムーズに行うための体制を整備し、地域での適切な薬物療法を推進するためのもの。

実施主体の都道府県が中心となって地域の実情に応じたモデル事業を行い、地域住民に対する適切な薬物療法の推進・普及を図る。

厚労省は、都道府県がモデル事業を実施するに当たり、▽薬物療法に関する医療職種間の事前取り決めに基づく薬剤師による投与量調整等を実施するための体制整備▽看護師、介護福祉士等に対する抗癌剤・麻薬の安全使用研修や、地域内の薬局間の抗癌剤、麻薬等の在庫融通▽在宅医療対応可能な薬剤師による夜間休日の輪番制▽お薬手帳活用による医薬品適正使用推進――などを提示し、都道府県が地域の実情に応じて選択できるようにした。

■北海道

道薬が事業を受託し、地域再生医療基金の事業と合わせ訪問薬剤管理指導を実施していく。今年度、旭川、北見、十勝の3カ所をモデル地域とし、在宅医療における薬局薬剤師の課題を抽出するアンケート調査を実施。その結果、浮かび上がった課題を解決するため、関連職種と構成する検討会を立ち上げ、検討を進める予定。

こうした活動により、北海道の特徴である広域に分散する小規模薬局に対し、地域ごとに情報等を共有する連携体制を構築する。

■宮城県

県薬が事業を一部受託し、在宅医療に関する研修会等を実施する。具体的には、国立病院機構仙台医療センターと打ち合わせ会を行い、患者退院時の共同指導に参画する体制を作るほか、在宅受け入れに伴う薬局同士の会議、多職種との研修会、先進地の視察等を行う予定。

■長野県

在宅での抗癌剤治療を推進するため、薬物治療や服薬支援に関する研修会を開催するほか、在宅医療、地域包括ケアに関わる医療職種・介護職との連携を強化する。また、上田薬剤師会が一部の業務を受託し、薬剤師が在宅薬物療法を推進するためのワークショップを開催する。

■三重県

県薬に事業を委託する。医師、訪問看護師や介護支援専門員など、在宅医療に中心的に関わる医療スタッフに対する服薬管理に関するニーズ調査を実施して多職種間でニーズを共有すると共に、薬剤師の関わりを整理する。また、多職種連携を推進するため、スマートフォン等の電子通信機器を用いた情報共有システムの試行・実用性評価も行う。

■徳島県

在宅医療を進める上での課題や問題点などについて話し合うため、地域の基幹病院の薬剤部と門前薬局、地域の医師会、歯科医師会が在宅医療に関する連絡協議会を設立する。

■高知県

11年度から進めている、薬物療法を中心とした多職種との薬薬連携の推進をさらに強化すると共に、訪問薬剤師養成研修事業において、残薬確認に関する研修を追加するなど、服用困難者などに対する多職種連携を踏まえた研修を行う。また、患者の血圧が記録できるお薬手帳の作成などを行う予定。

■福岡県

県薬に事業を委託し、福岡市薬、遠賀・中間薬、宗像薬で、無菌調剤室関係研修、疼痛緩和ケア研修のほか、地域医師や薬剤師など関係者による在宅医療会議の実施を計画。緊急時に地域内で医薬品を融通する体制の構築も図る予定。

■佐賀県

県薬に事業を委託し、▽専門認定薬剤師養成▽軽医療に関わる薬剤師養成▽無菌調製のできる薬剤師養成――を行う計画。専門薬剤師養成では、在宅医療が実施できる薬剤師情報を、関連機関や介護施設に提供し、情報共有を図る取り組みも行う。

■長崎県

地域の病院や診療所の医師と連携して、慢性腎臓病(CKD)患者の医薬品の適正使用を図る。かかりつけの病院や診療所と患者の検査値等の情報を共有し、健常人と同じ量の薬剤が処方されていた場合などに、医師に疑義照会した上で薬物の投与量を調整する体制を整える。

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