神経接続により、つながり強化
大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所ならびに独立行政法人科学技術振興機構は11月8日、大脳皮質と脊髄とのつながりを人工的に強化することに成功したことを発表した。この研究成果は、生理学研究所の西村幸男准教授とアメリカ・ワシントン大学の研究グループによるもので、神経科学専門誌「NEURON」(2013年11月7日オンライン版)に掲載された。
(画像はプレスリリースより)
研究チームは、4×5cmの神経接続装置を介することで、自由に行動するサルの大脳皮質の神経細胞と脊髄とを人工的に神経接続した。神経接続装置は、大脳皮質の神経活動を記録するとともに電気刺激に変換し、0.0015秒遅れのタイミングで脊髄に伝えるもの。翌日のサルの大脳皮質と脊髄間のつながり(シナプス結合)の強さは、人工接続前と比較して強化されていることが示されたという。
さらに、大脳皮質と脊髄のつながりの強さには刺激のタイミングが重要で、0.012~0.025秒の間では強化され、0.050秒以上では効果が現れないことも見いだされた。また刺激のタイミングを短くするとつながりが大変弱くなることもわかったとしている。
リハビリなどに役立つ可能性
プレスリリースには
「この技術は在宅で利用可能な脊髄損傷や脳梗塞後の運動・感覚機能の機能再建・リハビリテーションに役立つことが期待されます。シナプス結合は学習や記憶を司り、脳・脊髄の至る所にあります。この技術は学習能力や記憶を強化することにも応用可能かもしれません。」(生理学研究所 プレスリリースより引用)
と、西村准教授の言葉が掲載されている。(小林 周)
▼外部リンク
大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所 プレスリリース
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2013/11/pos