顧みられない熱帯病および結核の新薬開発目指す
エーザイ株式会社は11月8日、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同研究施設である米マサチューセッツ州ケンブリッジの「Broad Institute」と、顧みられない熱帯病(NTDs)および結核に対する新薬開発に向け、共同研究契約を締結したと発表した。
この契約のもと、Broad Instituteのライブラリーから同定された化合物の最適化を進め、両者が協力して新薬開発を目指していくという。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
初のプロジェクト対象疾患はシャーガス病
発表によると、最初のプロジェクトにおける対象疾患はシャーガス病(アメリカトリパノソーマ病)に決定したという。シャーガス病は、とくにラテンアメリカやカリブ諸国の貧困地域でみられる、サシガメ(ビンチューカ)に寄生する原虫クルーズトリパノソーマによる感染症。腫れや炎症、リンパ節腫腸から発熱、肝脾腫に進行し、急性心筋炎や髄膜脳炎で死亡することがあるほか、感染から数年~数十年後に慢性心筋炎、心筋症消化器症状などの慢性期症状を発症することがある。
適切な治療が受けられない場合、感染者の約3分の1が重篤な心疾患もしくは消化器疾患を発症し、死に至ることがあるとされる。ラテンアメリカでは毎年、約14,000人がシャーガス病により死亡しているとの報告もあり、早期の新薬開発が強く望まれるところである。
なお、この共同研究契約のもと実施されるシャーガス病に関するプロジェクトは、一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)により、助成金交付対象として採択された。(紫音 裕)
▼外部リンク
エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201364.html
Broad Institute of MIT and Harvard
http://www.broadinstitute.org/
一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金
http://www.ghitfund.org/