中央社会保険医療協議会総会は13日、武田薬品が申請していた抗肥満薬「オブリーン錠120mg」(一般名:セチリスタット)の薬価収載を見送った。臨床試験で心血管疾患等のリスク低減が示されておらず、わずかな体重減少効果だけだったことから、診療側、支払側委員から疑問が集中。薬価算定組織も「革新性や有効性が高いとは言えない」と異例の指摘を行い、原価計算方式の営業利益率を下限いっぱいのマイナス50%を初めて適用した。厚労省は臨床試験データ等の資料を揃えた上で、改めて薬価収載の可否を含め中医協に諮る。
オブリーンは、消化管や膵臓から分泌されるリパーゼ阻害剤。脂質吸収抑制作用を発揮する抗肥満薬として、9月20日付で承認された。世界初承認となったものの、中医協は、医薬品としての効果に疑問を示し、薬価収載に待ったをかけた。
安達秀樹委員(日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長)は、「脂質吸収で有意差が出ないのに、なぜ体重が減少するのか」と指摘。白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)も「非常に疑問。効果があるか分からない印象だ。そういう医薬品を保険収載することに疑問を感じる」と不快感を示した。花井圭子委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も「保険収載された薬を使って、体重が2%減少するだけでは納得いかない」と述べた。
薬価算定組織の長瀬隆英委員長は「どうして収載するのかという議論があったのは事実」と認めつつ、「可能な限り厳しい評価としてマイナス50%の営業利益率を付けた」と説明した。
厚労省は、「基本的に疾病治療で使用する目的で承認された医薬品は薬価収載すべき」と原則を提示。肥満症治療に用いる医薬品として、改めて臨床試験データを整理する意向を示した。