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札幌医科大 進行膵臓がん患者に対する第2相臨床試験開始を発表

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2013年11月15日 PM09:06

サバイビン2Bペプチド・インターフェロン併用療法

北海道公立大学法人札幌医科大学は11月6日、同大学附属病院における医師主導型治験として、有効な治療法のない進行膵臓がん患者に対するサバイビン2Bペプチド・インターフェロン併用療法の第2相臨床試験を開始したことを発表した。

この臨床試験は、東京大学医科学研究所病院と共同で実施されるもの。札幌医科大学医学部病理第一講座佐藤昇志教授、同大学附属病院第1外科平田公一教授を中心とする研究グループが、2012年9月から2013年5月に実施した第1相臨床試験の結果をもとに、インターフェロンを併用したがんペプチドワクチン「サバイビン2B」の有効性と安全性を確認する目的でスタートしたという。

試験期間は2016年12月まで、症例数は71例を予定している。

(画像はプレスリリースより)

今後の製剤化、治療法確立に期待

サバイビン2B(SVN-2B)は、がん抗原たんぱく質を小さく断片化したペプチドの一種。札幌医科大学が1980年代から進めてきた、ヒトがん抗原の同定、ヒト免疫応答の分子機構解明、ヒト固形腫瘍のがん幹細胞抗原の同定などの研究を通じて発見された。

このサバイビン2Bを患者に皮下注射することで、体内のリンパ球を刺激して増加・活性化させ、がん細胞を識別、攻撃して死滅させることができると考えられている。第1相臨床試験では、約53%の症例で腫瘍の増大を抑制することが示された。

今回の第2相臨床試験では、インターフェロン ベータ製剤「STI-01」を併用する。2004年2月より実施された臨床試験では、ペプチドとインターフェロンアルファの併用投与により、ペプチド単独投与に比べ、腫瘍抑制効果および免疫学的効果を高めることができる可能性が示唆された。よって、アルファ型と効果がほぼ同じであるといわれているベータ型のインターフェロンを併用投与し、腫瘍抑制効果や免疫学的効果、安全性を確認することとしたという。

治験はSTEP1とSTEP2で構成され、STEP1ではペプチド・インターフェロン併用群、ペプチド単独群、プラセボ群の3グループに患者をランダムに振り分け投与、二重盲検比較試験を実施する。最初の8週間は毎週1回インターフェロンを腹部皮下に注射、2週間ごとに同じ部位にペプチドと免疫補助剤を混合した乳化剤を注射する。ペプチド計4回の投与終了2週間後に、1回目のCTおよびMRI検査による効果確認検査を行う。ここで腫瘍抑制効果が確認されれば、その後も2週間ごとにインターフェロンとペプチド乳化剤の投与を継続し、6週間ごとにCT検査を実施していくという。なお腫瘍の進行が認められた場合には、患者の希望によりSTEP2へ移行。STEP2では、STEP1のグループに関係なく、全員がインターフェロンとペプチドの併用投与を受けるものとなっている。

研究グループによると、これまでの臨床試験から、発熱や全身倦怠感などの副作用が考えられるほか、ペプチド乳化剤接種部位の硬結・掻痒感・皮下出血・紅斑の発生、インターフェロンベータの副作用としての頭痛、悪感、白血球減少、血小板減少、肝機能異常等が報告されているものから予測されるという。

このほかにも予測不可能な副作用の可能性は否定できないものの、今後この治験により良好な結果が得られれば、製薬企業と連携し、速やかな製剤化を目指す方針だという。いまだ有効な治療法のない進行膵臓がん患者に、新たなる治療への道を拓く一歩となることが期待される。(紫音 裕)

▼外部リンク

札幌医科大学 プレスリリース
http://web.sapmed.ac.jp/jp/news/press/

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