■大塚HD除き4社が減益
国内製薬大手5社の2014年3月期中間決算(連結)が出揃った。大塚ホールディングスの医療関連事業は、主力の抗精神病薬「エビリファイ」が伸長し、二桁の増収増益を達成した。一方、武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイの4社は、円安による押し上げ効果で海外売上が大幅に伸び、増収を確保したが、営業利益は販管費増などにより、軒並み減益となった。
売上高を見ると、武田薬品の医療用医薬品は、5%増の7487億円。国内は1%減の2909億円と苦戦し、高血圧症治療剤「アジルバ」、2型糖尿病治療剤「ネシーナ」などの新製品が伸長したが、2型糖尿病治療剤「アクトス」と高血圧症治療剤「ブロプレス」の落ち込みが響いた。
海外では、北米がアクトスの特許期間満了に伴う後発品参入によって14%減となったが、欧州と新興国が10%増と大幅に伸び、国内の減収をカバーした。医療用医薬品の海外売上高比率は、61%と前年同期に比べ、2・9ポイント上昇。ただ、日本を含む現地通貨ベースでは、減収となった。
アステラス製薬は、グローバル戦略品の過活動膀胱(OAB)治療剤「ミラベグロン」、前立腺癌治療剤「エクスタンディ」などの新製品が躍進したほか、主力のOAB治療剤「ベシケア」も伸長し、二桁増収となった。後発品の影響を受けた国内は1%減の2572億円となったが、米国が50%増など現地通貨ベースでも全地域で増収を達成した。海外売上高比率は、円安効果もあり、52%と一気に約10ポイントも上昇した。
第一三共は6%の増収。グローバル製品のアンジオテンシンII受容体拮抗剤「オルメサルタン」が22%増となった。国内では、新製品の抗潰瘍剤「ネキシウム」、アルツハイマー型認知症(AD)治療剤「メマリー」などが伸長し、6%増の2265億円、第一三共グループの海外売上も二桁の伸びとなった。
しかし、後発品事業を手がける印ランバクシーは、前期に米国で高脂血症治療薬「アトルバスタチン」後発品の独占販売があった反動で、17%減の880億円と落ち込んだ。
大塚HDは、エビリファイが27%増の2610億円と大幅に成長したほか、癌領域や臨床栄養領域も売上を伸ばし、19%増の二桁増収を達成した。国内では新製品が寄与し、7%増の1809億円となった。
エーザイも、主力品の後発品参入の影響を受けながらも、増収を確保。主力のAD治療剤「アリセプト」が15%減だった一方、プロトンポンプ阻害剤「パリエット/アシフェックス」は10%増と拡大した。
抗癌剤「ハラヴェン」、抗TNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」など次世代6品目も伸長。地域別では、国内で後発品事業を手がけるエルメッドエーザイが成長し、1・4%増の1598億円だったほか、海外も堅調だった。
営業利益を見ると、円安で販管費が増加した武田、エーザイに加え、アステラスはエクスタンディの共同販促費など、欧米の癌ビジネス関連費用が増加して減益。第一三共も、ランバクシーが約8割減とカバーしきれず、減益となった。一方、大塚は二桁増益と好調だった。
通期は、武田と第一三共、エーザイが増収増益、アステラスは二桁の増収増益を見込む。大塚は通期予想を公表していない。
表:国内製薬企業大手5社の2014年3月期中間決算