臨床前期第2相試験の結果を報告
味の素製薬株式会社は11月6日、同社が独自に創製し開発中の炎症性腸疾患治療薬、開発コード「AJM300」について、潰瘍性大腸炎を対象とした臨床前期第2相試験の結果を発表した。
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の病勢には、炎症部位への過剰なリンパ球浸潤が関係しているとみられている。AJM300はここに着目したα4インテグリン阻害剤で、主にリンパ球の接着・浸潤を防ぐタイプの薬剤。既存薬にはない新たなメカニズムの薬剤として注目されている。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
世界初の有効性を確認、経口投与可能で新たな治療選択肢へ
今回の臨床試験は、既存治療薬である5-アミノサリチル酸製剤またはステロイド製剤を用いても十分な効果が得られていない、あるいはその副作用により治療の継続が困難となっている、中等症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、無作為二重盲検比較試験として実施した。
日本国内の42施設102例を対象に行い、主要評価項目は寛解導入期における投与8週後の改善率としている。その結果、AJM300投与群は、プラセボ群に対し、有意に高い改善率をみせたという。また認められた副作用の程度はいずれも軽度と、その安全性も確認している。
今回の臨床試験結果は、炎症性腸疾患領域における経口α4インテグリン阻害剤の有効性を世界で初めて確認した点で、大きな意義をもつ。抗体医薬が注目を集める領域で、経口投与可能であるメリットをもつ新規作用メカニズムのAJM300は、今後潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢を拓くものと期待されている。
味の素製薬株式会社では、今後、国内での臨床試験を加速するとともに、海外でも製薬企業への導出ライセンスを行い、日本発のグローバル新薬創出を目指していくとしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
味の素製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.ajinomoto-seiyaku.co.jp/newsrelease/2013/