■個人、法人とも黒字額が縮小
厚生労働省は6日、医療機関や薬局の経営状況を調べた「医療経済実態調査」を中央社会保険医療協議会の調査実施小委員会に報告した。保険薬局の損益率は、2011年度の診療報酬前の6・5%から、12年度の改定後に1ポイント低下の5・5%となり、黒字額が減った。今回から新たに追加した法人の店舗数別の調査項目では、店舗数が多い保険薬局ほど、損益率が高いことが分かった。保険薬局の平均年収は個人、法人ともに増えていた。
調査は、病院2621施設(有効回答数1429施設、有効回答率54・5%)、一般診療所3389施設(1715施設、50・6%)、歯科診療所1170施設(645施設、55・1%)、保険薬局1676施設(915施設、54・6%)を対象に実施した。
これまで、改定の前年度の6月単月の調査を基本としていたが、今回から6月単月のデータは集めず、直近2カ年の年間データのみ調査し、11年度の診療報酬改定前、12年度の改定後の収益を把握しやすくした。
保険薬局の損益率は、個人が11年度の10・6%から12年度に9・9%に下がり、法人も6・3%から5・3%に低下。個人、法人ともに11年度の診療報酬前に比べ、12年度の改定後に経営状況は悪化していた。
同一法人の店舗数別の損益率は、1店舗のみの場合、2・3%から1・8%、2~5店舗で4・4%から3・5%、6~19店舗で8・5%から7・0%、20店舗以上で9・3%から8・4%と、全ての区分で低下していたものの、損益率の数値自体は店舗数が多くなるほど高い傾向にあった。
今回の調査では、保険薬局の経営状況を人件費の面から把握するため、調査項目に給与に関する項目も追加した。
開設主体別に見ると、法人では管理薬剤師が11年度の725万円から12年度は742万円(伸び率2・4%)に増加し、薬剤師は454万円から462万円(1・9%)に増えた。個人でも、371万円から377万円(1・4%)に増えている。
一般病院の損益率を見ると、赤字が0・9%から0・4%に改善した。ただ、一般病院のうち、医療法人の損益差額が4・4%の黒字だったのに対し、国立と公立はそれぞれ0・1%、5・8%の赤字だった。
一般診療所の損益率は、13・1%から13・7%に上がり、改善した。無床診療所は損益率が上がり、14・8%の黒字、有床診療所は8・7%で、やや悪化した。