共同研究により大きな成果
自然科学研究機構 生理学研究所は、米ベイラー医科大のグループ等による位相差電子顕微鏡を用いた共同研究により、ウイルスの感染生活史の全容が解明されたと発表した。
(画像はプレスリリースより)
今後の感染対策研究にも期待
今回の研究では、地球上炭酸ガス固定の主役シアノバクテリア中での、ウイルスの立体構造形成の解明がなされた。まず、感染初期にはウイルスの外殻ができる。次に、DNAゲノムがその中に封入される。最後に、角や尾が出来る。この一連の形作りの過程がわかった。この研究と同じことがヒト細胞で可能となれば、今後のウイルス感染対策の前進がおおいに期待される。また、CO2問題の対策にも期待がもてるとしている。
位相差電子顕微鏡のもつ有用性
電子顕微鏡は近年進歩を続けてきたが、像のコントラストが弱く、微小形態の特定が困難であるなど問題もあった。今回の研究では、生理研・永山教授のグループによる位相差電子顕微鏡が有効であった。位相差法の心臓部である薄い炭素膜でできた位相板の帯電防止法を用いた電子顕微鏡である。今回の研究結果を出したことによって、この位相差電子顕微鏡が医学生物学研究にとって非常に重要であるということを示すこととなった。生理学研究所の永山教授は
「今回の研究で、10年来地道に続けてきた位相差電子顕微鏡の開発研究が医学、生物学分野で正しく評価されることを期待している」(ニュースリリースより引用)
と語っている。(たなか牡丹)
▼外部リンク
自然科学研究機構 生理学研究所 プレスリリース
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2013/10/post-258.html