「ACTN4 DNA Probe」を日本独占的契約で研究用試薬として発売
株式会社医学生物学研究所は10月25日、台湾のABNOVA Corporation(以下、ABNOVA社)による、肺がん治療予後への影響が示唆されるアクチニン4(ACTN4)の検出試薬である「ACTN4 DNA Probe」を独占的契約で導入、日本国内において研究用試薬として発売することを決定したと発表した。
肺がん患者のうち、6割を占めるのが腺がんだが、そのうちACTN4遺伝子の増幅が見られない肺腺がん患者では、5年生存率が9割強あるのに対し、増幅している患者の場合、約6割となっており、予後への影響が示唆されている。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
また、年齢や喫煙歴などの要因を考慮すると、死亡リスクでみたとき、ACTN4遺伝子の増幅が見られる患者は、そうでない患者に比べ、10倍強高いとの報告もなされている。これらから、ACTN4遺伝子の発現を検出することが、将来のリスクを予測し、適切な治療方法を確立する研究に役立つものと考えられている。
免疫染色法用抗体とFISH法用のプローブの組み合わせ品
「ACTN4 DNA Probe」は、ACTN4のタンパク質と遺伝子の増幅を研究するための、免疫染色法用の抗体とFISH法(Fluorescence in situ hybridization)用のプローブの組み合わせから成るもの。患者の組織を用い、簡単に検査することができるという。
医学生物学研究所では今後、診断薬化に向け、薬事承認のための臨床試験も開始し、商品の有用性を確認していく予定としている。
肺がんのみならず、ACTN4遺伝子は、運動性の高い細胞に多く発現し、がんの転移にも関与すると考えられているため、その他の多くのがんで研究対象となる可能性も高い。今後の研究への寄与も期待されるところである。(紫音 裕)
▼外部リンク
株式会社 医学生物学研究所 プレスリリース
http://www.mbl.co.jp/ir/press/2013/1025.html
ABNOVA Corporation
http://www.abnova.com/