小脳の抑制性シナプスの可塑性が運動学習に寄与
京都大学は10月23日、運動学習の新メカニズム解明に成功したことを発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは同大学理学研究科・平野丈夫教授、田中進介・同博士課程学生らの研究グループによるもの。研究グループは、小脳の抑制性シナプスで起こる情報伝達効率の変化(シナプス可塑性)が運動学習の基盤メカニズムとして重要であることを解明し、この研究成果は、アメリカの学術専門誌「Journal of Neuroscience」のオンライン版に掲載された。
VORの適応能力を評価することで運動能力を調査
研究グループは、蛍光分子で標識したγ2ペプチドをプルキンエ細胞特異的に発現する遺伝子改変マウスを作製し、前庭動眼反射(VOR)の適応能力を評価することでこのマウスの運動学習能力を調査。
VORの大きさは状況に応じて変化する適応をし、この適応現象は運動学習のモデルとみなすことができる。通常のマウスは、頭部回転と同時に視野回転を与えると視野ブレが小さくなるように眼球運動を変化させるのに対し、遺伝子改変マウスは適応の大きさが減少していたという。
この結果は、小脳の抑制性シナプスの可塑性が運動学習に寄与していることを示し、小脳による運動学習機構をシナプスと神経回路のレベルで理解するうえで重要な新情報となるとしている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/13