中央社会保険医療協議会は10月30日の総会で、厚生労働省が23日の総会で提示した、夜間・休日を含む24時間体制で対応した場合の薬局への評価や、在宅医療に取り組む薬局を周知するため、薬剤情報提供文書に在宅業務届出薬局であることを記載するなどの論点について議論した。薬局の24時間対応の体制整備では、これまで地域の薬局との連携で算定できていた「基準調剤加算」について、「単独の薬局による対応を原則」とする方向性を厚労省が示しているため、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)からは、薬局の24時間対応にかかるコスト増を点数に上乗せする動きをけん制する場面はあったが、これらの取り組みに反対する意見は出なかった。
現行の基準調剤加算は、近隣の薬局と連携して輪番制に参加したり、緊急の連絡があった際に調剤が行える体制が整っていれば、要件を満たすことができる。ただ、これまで以上に薬局が在宅医療に関わるようにするため、厚労省は全ての薬局で24時間対応を行うことを求めないまでも、「単独の薬局による対応を原則」とすることで、実効性を高める仕組みにつなげたい考え。
三浦洋嗣委員(日本薬剤師会副会長)は、夜9時以降の夜間帯に、緊急で内服薬などを調剤するケースは「年に数回程度」としながら、「医師からの連絡があれば常に対応できる体制を整えておくことは必要」と述べた。
これに関し中川氏は、厚労省の「薬局の機能に係る実態調査」で、患者が薬局に求める機能のうち、夜間・休日の開局を求めた割合が1割程度しかなく、OTCの販売や相談に対するニーズが50~60%程度と高い点に触れ、患者が薬局に求める機能は「OTCの相談がメインなのでは」とし、24時間の体制整備に係る調剤報酬上のさらなる評価をけん制した。
一方、花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」)は、病棟でのチーム医療で薬剤師のありがたみが分かってきた」と述べ、在宅で薬局が連携して情報を共有できるようになれば、「薬剤師が関わることの価値は高まる」とした。
なお、この日の総会から新委員による新体制がスタートした。診療側で新たに委員になったのは、嘉山孝正氏(全国医学部長病院長会議相談役)の後任の中川氏と、西澤寛俊氏(全日本病院協会会長)の後任の長瀬輝諠氏(日本精神科病院協会副会長)の2氏。