比較試験で生存率が大幅に向上
静岡県立静岡がんセンターは10月24日、膵がん患者のS-1療法がグレードAに位置づけられたことを発表した。
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これは「膵がん切除後の補助化学療法における塩酸ゲムシタビン療法とS-1療法の第3相比較試験」において、生存率が大幅に向上するという良好な結果を得られたことによるもの。
2年生存率は70%に向上
この試験は、膵がん切除後の再発率を下げることを目的に、同センター副院長兼肝胆膵外科部長・上坂克彦氏が研究代表となり、2007年から開始された。
膵がん切除後に、これまで標準的に使用されてきた塩酸ゲムシタビンのかわりにS-1を使用すると、2年生存率が53%から70%に向上したことが明らかになったという。その際のS-1のハザード比は0.56(S-1は塩酸ゲムシタビンに比べて、膵がん術後の死亡のリスクを44%減少させる)。
改定ガイドラインでは単独療法を推奨
良好な試験結果を受け、新たに改訂された「膵癌診療ガイドライン2013(日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会作成)」では術後補助療法のレジメンはS-1単独療法が推奨され(グレードA)、S-1に対する忍容性が低い症例などでは、ゲムシタビン塩酸塩単独療法が勧められる(グレードB)。(小林 周)
▼外部リンク
静岡県立静岡がんセンター ニュースリリース
http://www.scchr.jp/press_releases/20131024/20131024.html