後発品の使用割合については、後発品に置き換え可能な医薬品を分母とした新指標で、DPC病院と準備病院の使用割合の平均値は39・6%。そのうち今回は、数量シェアが80・51%の国立病院機構九州がんセンター、12・34%の順天堂大学医学部附属静岡病院からヒアリングを行った。
九州がんセンターは、2008年に国立病院機構本部が目標値を示したことを契機に、後発品の使用促進に取り組み、10年度で数量割合19%、11年度は31%、12年度は新指標で80%を超えた。旧指標でも50%程度と高い。ヒアリングに臨んだ岡村健院長は「当初は使用割合が低かったが、医師任せにせず、薬剤科の主導により、しっかり提案していったことで効果を上げてきた」と背景を説明した。
順天堂大静岡病院は、11年4月のDPC導入後、造影剤などから順次、後発品に切り替えを行ってきたが、三橋直樹院長は「自発的に後発品を使っていいという診療科は出てこなかった」としつつ、今年1月に副院長をリーダーとする後発品採用プロジェクトを開始したことを報告した。
その上で、10月から抗生物質、抗癌剤の切り替えを開始したとし、「診療科の医師を説得するのは難しいが、後発品を増やすことは決まっているので、今後広がってくるのは間違いない」と強調した。
一方、入院時の持参薬をめぐっては、国立病院機構弘前病院、山梨大学医学部附属病院などからヒアリングを行った。持参薬が少ない弘前病院の佐藤年信院長は、「整形外科で高齢者が多く、繰り返し入院で癌化学療法が行われており、後発品の使用も多いため、外来処方しない品目が多くなった」と背景を説明。入院中の薬剤コスト削減のために持参薬を活用しているのではないかとの見方に対しては、「医師が何度も処方したり、薬局で何度も調剤する煩雑さが大きな要因」と説明した。
これに対し、持参薬が多い山梨大の藤井秀樹副院長は、「原則として持参薬はインシデントが起こりやすいため使わない」としつつ、院内システムに持参薬の服用指示の入力画面がないことを背景に挙げた。その上で、ベッド数606床に対して薬剤師が33人と少なく、1病棟しか常駐していないことが「持参薬の管理を妨げている」と指摘。病棟薬剤師の配置が持参薬の活用枠を広げることにつながると述べ、薬剤師の病棟配置の必要性を強調した。