移植して間もなくの血漿漏れリスクを低減
テルモ株式会社は10月22日、日本初のゼラチン被覆型、延伸多孔質PTFE(expanded PTFE:ePTFE)製 末梢用人工血管の2製品「SEALPTFE」(シールPTFE)と、「Taperflo」(テーパーフロー)について、全国の医療機関向けに21日から本格発売を開始したと発表した。
この末梢用人工血管は、血液透析を含めた血行の再建などに使用するもの。血液透析では、長期間に及ぶ治療の血管ダメージで、治療の続行が困難となった場合などに人工血管への移植が行われる。近年、透析期間は長期化傾向にあるほか、糖尿病等で血管が脆弱となった患者の血液透析開始など、末梢用人工血管の医療現場におけるニーズはますます高まっている。
テルモでは、そうした現場のニーズに応え、末梢用人工血管の製品ラインアップ充実に努めているという。
(画像はプレスリリースより)
縫いやすさは維持し、ゼラチン加水分解で生体と組織結合
今回発売された「SEALPTFE」と「Taperflo」は、いずれも小口径人工血管として初めてePTFE製の本体をゼラチンで覆ったもの。これにより、一般的なePTFE製人工血管における手術時の縫いやすさというメリットはそのままに、移植後間もない時期にとくに発生しやすい血漿漏出のリスク低減を目指したものとなっている。
ゼラチン層は留置後に加水分解され、生体と組織結合するとしている。テルモによると、今年7月から一部の医療機関において先行発売による提供を行ってきたが、高い評価を得ているという。
「SEALPTFE」は、さまざまな部位に広く用いることのできるストレートタイプで、一方の「Taperflo」は動脈からの血流の勢いを抑えるため、動脈側が細くなっているテーパータイプ。透析患者らの治療サポートに役立つ新製品となることが期待される。(紫音 裕)
▼外部リンク
テルモ株式会社 プレスリリース
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