思春期は、扱いづらくて…という嘆きは、お年頃の子どもをもつ親御さんたちが、いつの時代にも抱えている悩みです。この時期の様々な情緒、こころの問題は、「年齢のせい」と、ひとくくりに解釈されることが多いもの。けれども、実は特定の栄養素が不足しているために、思春期の子どもたちが、不安感を強く持ったり、落ち着きがなかったりすることがあるそうです。
(この画像はイメージです Keerati/FreeDigitalPhotos.net)
その栄養素は「オメガ3脂肪酸」。青魚や、豆類、卵、草食動物の肉などに含まれることで知られています。現代っ子のオメガ3脂肪酸不足は、卵アレルギーの増加や魚離れから来ているのかと思いきや、これは親の世代の影響であることが、ピッツバーグ大学の研究チームによって指摘されました。
現在思春期の子どもたちを持つ、1960年代から1970年代生まれの世代では、食生活に様々な変化がありました。特に、家畜の飼料が草から穀物に変わったこと、そしてコーンオイルや大豆油など、オメガ3脂肪酸が含まれない油分を多く摂るようになったことで、この世代ではオメガ3脂肪酸が不足がちの食生活を送っていた人が多いのです。
そして、オメガ3脂肪酸が欠乏している世代の子どもたちでは、欠乏症の症状を受け継いでいることが多いそうです。現在、この「第2世代」の脳や身体にどのような変化が起こっているかなどの調査が進められています。
オメガ3脂肪酸が欠乏すると、不安や問題を解決する能力の低下、落ち着きのなさなどが見られるようになります。今思春期のお子さんが見せている症状は、実はお年頃のせいではなく、オメガ3脂肪酸に関連するものかもしれません。
ただ、第2世代での症状は、単純にオメガ3脂肪酸を摂れば解決するというものではないと見られています。子どもたちの心の発達に気がかりなことがある場合は、年齢のためと決めてしまわずに、専門家に観察や判断をゆだねることも時に必要ではないでしょうか。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Adolescent Behavior and Dopamine Availability Are Uniquely Sensitive to Dietary Omega-3 Fatty Acid Deficiency
http://www.biologicalpsychiatryjournal.com/article/
Adolescents Are What They Don’t Eat, Too
http://www.news.pitt.edu/news/adolescents-are-what-they-don-t-eat-too