■中医協へ在宅医療で提案
中央社会保険医療協議会は23日、総会で次期診療報酬改定の主要テーマの一つに位置づけられている在宅医療について議論した。調剤報酬では厚生労働省が、地域の薬局と連携して夜間・休日でも調剤できる体制を整えている場合に算定できる「基準調剤加算」の要件を厳格化することや、無菌調剤室を共同利用した場合でも、無菌製剤処理加算を算定できるようにすることを提案した。また、在宅業務を実施している薬局を周知するため、処方箋の公布に併せて患者に保険薬局の地図を配布する際、在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている薬局の情報を提供する案も示した。
在宅業務届出薬局が算定できる基準調剤加算は、薬局が単独で24時間、調剤ができる体制を整えなくても、近隣の薬局が連携して常時調剤ができる体制を整えておけば、要件を満たすことができる。
この場合、ある特定の薬局が24時間対応を行うなど、偏ったケースも散見されるため、「地域の薬局との連携を図りつつ単独の薬局による対応を原則とする」ことを提案した。
また、在宅療養支援診療所の施設基準が、24時間往診可能であることや、訪問看護ステーションなどに対する情報提供などを要件としていることを踏まえ、「病院・診療所以外に、訪問看護ステーションやケアマネージャーへの情報提供を規定する」ことも提案した。
無菌製剤処理加算については、要件を緩和する案を示した。現行の調剤報酬では、無菌調剤室を共同利用した場合、施設基準を満たすことができず、加算が算定できない。
昨年8月の薬事法施行規則の一部改正で、無菌調剤室の共同利用が可能となったことや、厚労省が今年度に委託した「薬局の機能に係る実地調査」によると、80・7%の薬局が無菌製剤室の共同利用が調剤報酬で算定できるようになれば、「無菌製剤処理を実施したい、実施を検討したい」と回答しているため、「共同利用で、加算を算定することとしてはどうか」とした。
在宅患者訪問薬剤管理指導を実施している薬局を周知するための仕組みでは、在宅患者訪問薬剤管理指導等を開始した経緯の大半が、処方医からの依頼によるものであるという実情を踏まえ、「医療機関で処方箋の交付に併せて患者に薬局の地図を配布する際、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局の情報を提供する」ことを提案した。
ただ、保険医療機関および保険医療養担当規則では、処方箋を交付する際、患者に対して特定の薬局で調剤を受けるべき旨の指示等を行ってはならないとの規定があり、こうした情報提供が特定の薬局への誘導の禁止に反しないことも明らかにする。
薬局を介して在宅医療に必要な衛生材料や特定保険医療材料を提供できるような提案も行った。
衛生材料については、医師が「衛生材料を供給できる体制を有している」と届け出ている薬局に対し、必要な衛生材料の種類と量を指示し、患者宅に提供される仕組みを提案した。
特定保険医療材料については、医師の処方箋に基づいて、保険薬局で交付することができる特定保険医療材料に、在宅血液透析用特定保険医療材料などを追加する案を提示。
また、在宅医療で投与できる注射薬に電解質製剤を追加する案も示した。