共同技術開発契約の締結を発表
株式会社日立ハイテクノロジーズと米OpGen, Inc. (以下、OpGen社)は、10月16日、ヒトゲノム構造解析における共同技術開発契約を締結したと発表した。今後、臨床研究向けのヒトゲノム構造解析サービス事業の共同開発を行っていくという。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)
OpGen社は、迅速で正確なゲノム・DNA解析システムとサービスを提供するベンチャー企業として知られ、従来技術に比べ、より迅速で安価にゲノムマップを提供することを可能としてきた。データの正確性と結果導出時間を大幅に改善する先進的全ゲノムマッピング技術を開発しており、この技術と、日立ハイテクノロジーズおよび日立グループがもつクラウド型ICTシステムとを融合させることにより、次世代研究に貢献すると考えられる、迅速で高精度なヒトゲノム構造解析サービスを広く提供するクラウドソリューションの開発が可能になると見込まれている。
近年、次世代DNAシーケンサの普及により、大量の塩基配列情報を解析できるようになって、ゲノム構造解析の高速化が進んだが、依然この方法ではゲノムの断片的データしか得られず、完全なゲノム配列を解析するには多くの工程と時間がかかるとともに、ゲノム配列内における転位や欠失といった構造変化を解析できないという課題が残されている。
ゲノムの構造変化の多くは、がんや自閉症、アルツハイマー病などの疾病や障がいと関連していることが分かっており、構造の解析が進むことによって、新たな治療法の開発が期待される。また将来的には、患者それぞれの遺伝子情報をもとにした疾病の診断や、より適切な治療法を決定していく個別化医療の指針となることが考えられている。
次世代医療のかたちをつくるヒトゲノム構造解析クラウドソリューション
現在、日立ハイテクノロジーズが米国で開発しているヒトゲノム構造解析クラウドソリューションでは、研究者や臨床医、将来的には患者自身まで含めて、全ゲノムマッピングデータやヒトゲノム構造解析ツール、臨床データなどにアクセスできるポータルや、ヒトゲノムの完全な遺伝子評価結果が得られる解析モジュールを提供していく方針という。
OpGen社の技術は、特定の塩基配列を認識する制限酵素で切断した情報を用いて作成された物理的な全ゲノムマップを効率よく作成する技術であり、今回の共同開発契約締結は、次世代DNAシーケンサを使用して得られるゲノム配列のバリデーションや大規模なヒトゲノム構造解析を実現するクラウドソリューションの実現にむけた大きな一歩になるとみられる。
なお、日立ハイテクノロジーズでは、このヒトゲノム構造解析クラウドソリューション計画について、より詳細な内容を10月23日から10月25日にかけて、米ボストンで開催される「American Society of Human Genetics Annual Meeting」の日立グループブース(811、813)において紹介する予定であると告知している。(紫音 裕)
▼外部リンク
日立ハイテクノロジーズ ニュースリリース
http://www.hitachi-hitec.com/news_events/ir/2013/
OpGen社 プレスリリース
http://www.opgen.com/news/