メドピアによる会員医師調査で判明
臨床に役立つ知識を共有する医師限定の会員制サイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社が10月10日、会員医師を対象とした「肺機能検査(スパイロメトリー)が困難な患者のCOPD診断」についてのアンケート結果を発表した。「MedPeer」は現在、医師約6万人が参加するサイトとなっており、このアンケートには、1700件の回答が寄せられている。
スパイロメトリーの実施が困難と予測される患者で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が疑われる場合、どのような対応をしているか尋ねたところ、「肺機能検査を可能な範囲で行ったうえで、総合的にCOPDか診断する」がもっとも多く59.1%を占めたという。
参考にするデータとしては、病歴喫煙歴、Hugh-Jones分類ADL、X線、酸素飽和度、血液ガス、胸部レントゲン、CTなどが挙げられている。この中には、長時間作用性吸入抗コリン剤(LAMA)あるいはβ刺激薬による可逆性をみる意図もあって可能な範囲で再検するという声や、高齢者の場合、検査が施行できたとしても結果の信頼度が低い場合がしばしばあるといった指摘もあった。
(画像はプレスリリースより)
約3割は検査しない方法を選択
次に多かったのが「肺機能検査をせずに、COPDと診断する」とした28.1%で、肺機能検査はやり方で結果が大きく異なるといった意見も挙がっている。検査を行わない場合、病歴や問診、理学的所見、画像所見、運動前後の酸素飽和度などから診断しているという意見が多かったという。
このほかの意見としては、「肺機能検査が困難であれば、診断をしない」が5.9%、「その他」が6.9%で、専門医を紹介しているといった意見のほか、診断はしないが、結果COPDと似た治療を行っているというコメントも寄せられている。
学会からガイドライン第4版出版も、検査困難状況には触れず
この調査は医師専用サイト「MedPeer」内の「ポスティング調査」コーナーを通じて行われた。回答者はすべて同サイトに会員登録をしている医師である。調査期間は2013年8月28日~2013年9月3日。
COPDについては、厚生労働省による健康日本21(第2次)の新たな重点項目として、その認知度向上が制定されている。今年4月には日本呼吸器学会から「COPD:診断と治療のためのガイドライン 第4版」が出版されている。
COPDの罹病年齢は高く、認知症や脳梗塞後遺症などの合併症により、肺機能検査が困難なケースも多い。しかし、ガイドラインでも検査困難な状況の対応については触れられておらず、臨床における対応が分かれている現状がある。(紫音 裕)
▼外部リンク
メドピア株式会社 プレスリリース
http://medpeer.co.jp/press/pdf/Posting_131010.pdf
一般社団法人 日本呼吸器学会 COPD 診断と治療のためのガイドライン 第4版
http://www.jrs.or.jp/home/modules/glsm/