■財務省が見解
財務省は21日、財政制度等審議会の分科会に医療費などの社会保障分野における予算編成の課題を示した。診療報酬について、次期改定で上積みをする状況にないとの見解を示した。調剤については、報酬体系の見直しを求めているほか、現在、試行的に導入されている「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の本格導入に難色を示している。
財務省は、診療報酬を1%引き上げた場合、約4200億円の負担増になるため、次期改定でさらに上積みするのではなく、高齢化などで毎年約1兆円ずつ膨らんでいる医療費の効率化に取り組む必要があると指摘した。
財務省は、調剤について、2009年の医療費を基準にした場合の診療種類別医療費伸び率を見ると、医科、歯科に比べて調剤(技術料)が高くなっていることや、大手8社の調剤薬局の売上高が増加しているなどの資料を提示。
その上で、チェーン展開による規模の経済や、卸売業者に対する価格交渉力の向上など、従来とは異なるビジネスモデルを展開しているとし、「こうした変化も踏まえた調剤報酬体系の見直しが必要ではないか」と提案した。
新薬創出加算については、加算は受けつつも、適応外薬の開発要請を受けていない企業が全81社中34社(42%)あることに触れ、「適応外薬の開発要請すらされない会社の新薬に加算を行うことが適当か」とした。
薬価改定について、薬価を最新の市場実勢価格(13年9月時点)に置き換えるもので、予算単価の当然の時点修正であり、合理化・効率化とは異なると指摘した上で、「何らかの財源の捻出が行われたかのように見なすことは不適当」とし、薬価改定の財源を診療報酬本体などに回すことをけん制した。
後発品への置き換えが進まない場合の長期収載品薬価の大幅引き下げも検討課題に挙げた。