■月額最大で4万4400円
厚生労働省は18日、難病患者の新たな医療費助成制度のたたき台を、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会に示した。新たに難病と認定された患者に対し、医療費の自己負担割合を現行の3割から2割に引き下げる。また、限度額を所得ごとに設定し、市町村民税非課税の低所得者は、原則として月額8000円、年収約370万円以下は1万2000円、年収約370万円以上は4万4400円とした。患者団体からは「負担感が大きい」と疑問視する声も出た。
新たな医療費助成の制度案は、高齢者の高額療養費制度を参考に、難病の特性に配慮した上で限度額を設定したもの。新規で難病と認定された患者に対し、原則として医療費の自己負担割合を現行の3割から2割に引き下げる。
所得に応じた自己負担の限度額も設定し、生活保護者は無料、市町村民税非課税の低所得者は月8000円、年収約370万円以下は月1万2000円、年収約370万円以上は4万4400円を上限とした。
例えば、年収280万円の難病患者が毎月50万円の医療費を使った場合、これまで自己負担分として1~3カ月目まで8万2340円、4カ月目からは4万4400円を支払うことになっていたが、新制度では1カ月目から月額1万2000円で済む。
自己負担の限度額は、受診した複数の医療機関、薬局での保険調剤等の自己負担を全て合算した上で適用され、助成対象は症状の程度が一定以上の者とした。既に難病と認定されている患者の扱いについては、低所得者に配慮しつつ、別途検討するとした。
厚労省が示した新制度案に対して、伊藤たてお委員(日本難病・疾病団体協議会代表理事)は、「2割負担に引き下げても、月額で最大4万4400円という額が患者負担に耐えられるものなのか」と難色を示した。
本間俊典委員(あせび会・希少難病者全国連合会監事)も「非課税の低所得者には8000円の上限額でも負担感が大きいのではないか」と指摘した。
一方で、「年収が高い患者の負担額をもっと引き上げてもいい」と提案。葛原茂樹委員(鈴鹿医療科学大学教授)も「年収が370万円を超えると、限度額が1万2000円から4万4400円まで一気に上がってしまう。年収の高いところの区分を細分化して、限度額を決めた方がいいのではないか」と述べた。