■適応外薬の解消努力は評価
この日の部会は、次期薬価制度改革で最大の焦点とされる新薬創出等加算の恒久化に向け、仕組みの検証作業に着手した。厚労省は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討結果を受け、開発要請された品目について、加算を受けた国内製薬企業の対応状況を示した。
その結果、加算対象は361成分695品目、加算額は83社で689億3000万円に上ることが明らかになった。加算を受けた企業の適応外薬等の総開発要請件数は247件となったが、加算を受けていない企業24社でも32件の開発要請に応じており、ほとんどの企業が開発要請品目について治験に着手したり、公知申請の準備を進めていることが分かった。
一方、加算対象品目を持ちながら開発要請を受けていない企業が35社存在することも分かった。開発企業を募集中の公募品目は、ライセンス交渉中等の理由で企業名が非公表の品目を除き22品目あった。
矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)は、「全体的には開発要請への積極的な取り組みが認められ、業界の努力は理解できる」と評価。白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)も「開発要請品目が順調に進捗している」と歓迎しつつ、ミスマッチ企業の存在を指摘。「国民に分かりやすいのは、開発要請品目の薬価を一定期間維持すること。開発要請を受けていない品目が、加算を受けるのはいかがなものか」と注文を付けた。
安達秀樹委員(京都府医師会副会長)もミスマッチ企業を問題視し、「そういう企業の対象品目については、加算を外してもいいという議論もある」とけん制した。
厚労省によると、開発要請品目もなく、公募品目の開発にも応募していない企業は、新薬創出等加算が試行導入された10年に37社あったが、12年は28社とわずかに減少している。
■仕組み検証に評価指標案‐国内開発費等の合計額で
また厚労省は、新薬創出等加算の仕組みを検証するため、加算を受けた国内製薬企業の「真に医療の質向上に貢献する医薬品の国内開発費」と「適応外薬等解消のための研究開発費」を合計した額を評価指標とする案を示した。
医療の質向上に貢献する医薬品については、市場性の乏しい希少疾病治療の観点に加え、既存治療薬と比べて治療効率が大幅に向上したり、投与方法の改善など高い医療上の有用性がある場合等の要件を満たす医薬品の国内開発にかかった開発費の総額が評価の一つに上がった。
医療上の必要性が高い医薬品や厚労省が開発要請・公募した医薬品の国内開発にかかった研究開発費も評価対象とし、加算を受けた全ての国内製薬企業について、これら合計額を評価指標とすることを提案した。
委員からは「国内開発費をどう捉えるか、定義があいまいではないか」「もう少し条件を厳密にすべき」と指摘があったが、仕組みの検証を進めていくことでは合意。今後、評価指標を議論する材料として、製薬業界側に国内開発費データを提出できるか検討してもらうことになった。